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「マザーハウス」山口絵理子社長が突き進んだ道

途上国から世界に通用するブランドをつくる――
第一弾は、“メイド イン バングラデシュ”のバッグブランド
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大学卒業後、訪れたバングラデシュの地。
途上国に必要なのは仕事、その中でも、ものづくりではないかと感じたという、経営者であり、デザイナーでもあるマザーハウスの山口絵理子社長。

「バッグをつくるつもりではなかったが、ジュートとの出合いがスタートになりました」と語る、その行動力はすさまじい。創業2年目にして自社工場を現地につくり、裁断から仕上げまで一貫した生産体制を確立。
並行して日本国内での販売にも自らが出向き、卸先を開拓すると同時に直営店も開設させるなど生産と販売の両方を手掛けてきた。

現在、日本国内に直営5店舗を有し、8月27日にはモザイク銀座阪急に直営店をオープンさせる。途上国でのものづくりにこだわり続ける情熱と夢の源泉はどこにあるのか、探ってみたい。
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かわいそうだから買ってあげるのではなく

ジュートは麻の一種で、現在、インドとバングラデシュが世界の輸出量の90%以上を占めると言われている。耐久性、通気性に優れるため、ジュートはコーヒー豆などを入れるざっくりとした麻袋として使われることが多い。山口絵理子社長のジュートとの出合いもそうした麻袋だった。だが、ジュートを知れば知るほど、その良さを100%活かす使い方がもっと他にあるのではないか。「ジュートを先進国のテイストに合うように変化させるプロセスが、今のブランドのモノづくりのスタートになっています」と語る通り、素材開発のために染色および生地加工の職人を現地に派遣、同ブランドならではのものづくりがはじまった。

「ジュートは2メートル近い茎からなる植物で、質が良いのは茎の真ん中の30センチ程度。ここだけを使うという風に決めて素材の品質を高めるようにしたのですが、現地で工場を探すのは大変でした。

motherhouse   委託生産していた工場ではこだわりより効率を優先されてしまい、結果的に妥協しなければならず、それが売上にも響いていたと今は断言できます。ジュートは天然素材ですから品質や色などにバラつきがあります。そのため、加工の内容はシーズンごとに微妙に変えなければならないのです。
それにバングラデシュは政情不安もあり、人員が定着しませんでした。素材開発や工場とのやりとりなど多くの段階で失敗や裏切りを多々経験してきました。

今は試行錯誤の中で学んできたすべてのことがここでしかできないものづくりを支えていますし、これからの可能性にもつながっていくと思います」と山口社長はまっすぐな思いを語る。

かわいそうだから買ってあげるのではなく可愛い、素敵だと思って買ったバッグがたまたまバングラデシュで作られていたといという、バッグそのものを売りに先進国のファッションマーケットで勝負するのが狙いだ。

荷物や持つ人によって表情の変わるバッグ

ジュートの美しくやさしい手触りとハンドクラフトを重視したデザインとのマッチングが同ブランドの大きな魅力になっている。2006年からの人気モデル、リュックにもなるメッセンジャーバッグ(1万7200円)は芯を入れず、外縫いにして立体的なシェイプを表現している。

「人になじむというか、人と体温が伝わることが重要で、荷物やバッグを持つ人によって表情が変わるカジュアルバッグを創りたいと思ってデザインしています。バングラデシュの牛革をジュートに組み合わせてデザインしたり、ココナッツの殻を加工してデザインポイントに使ったりしています。金具はなるべく使わないようにしていますし、現地で使えるものを探すことが多いですね。途上国でもできることってたくさんありますね」(山口社長)

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バングラデシュには自社工場と提携工場があり、創るモノによってラインを分けているという。工員はエプロンや上履き、IDカードを身に付け、月1回のメディカルチェックを実施、乳児を抱える世帯には育児手当を支給するなど安全と安心を提供し、仕事に集中できる環境と仕組みを整えている。「工場内では工員が自主的に学んだり、できないことは早朝から来て練習したりと、とても良い雰囲気です。バングラデシュではまだまだ児童労働も多い現状の中、当社の工場が良いモデルになるのではないかと思っています」(山口社長)

自社工場と提携工場で商品を生産しているが、それでも店頭の約3割は予約で完売している商品で、入荷まで1カ月待ちという状況が続いている。裁断など職人が手作業で行う工程を変えずにそのまま残しているからだが、そうしたこだわりがブランドのコアを創り上げていることも確か。そこに顧客は惹きつけられるのだろう。

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