VMDコンサルタント 深澤智浩 | 業界人インタビューVol.05 | アパレルウェブ

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コンサルタント特集 VOL.04 深澤流 VMDによるお客様視点の探究 VMDコンサルタント 深澤智浩

Profile プロフィール

深澤 智浩 (ふかさわ ともひろ)

VMDコンサルタント

大学卒業後、大手SPA企業にてヘッドトレーナーとしてVMD戦略に携わる。
2003年、VMD TOTAL SUPPORT OFFICE 深澤企画設立。
現在、複数のカジュアルブランドの店舗運営のサポートとVMD業務に携わる傍ら、生鮮食料品の店舗ビジュアルも手掛ける。
年間、深澤企画として100店舗以上のVMDクリニックを行っている。
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日本、海外でファッションを初め、異業種の物販はもちろんのこと、サービスを提供する業態にまで活動範囲を広げる深澤智浩。あたりまえの事を伝え続ける深澤流VMDとは?

 

◆ロジックへの反作用

最近、ロジック寄りの本を読んだり、ロジックをベースに仕事を考えることが多かったせいか、その内容にどっと疲れを感じ、何も考えずにふと書店で目ついた「谷川俊太郎質問箱」を購入してみました。

内容は、一般の人からの何気ない質問に対して谷川さんが詩人の言葉で回答するという連載をまとめたものでした。例えば、“「どうして、にんげんは死ぬの? さえちゃんは、死ぬのはいやだよ」”という6歳の少女の質問に対して、生物学的な観点から、理路整然と答えても良いのですが、谷川俊太郎は、“ぼくがお母さんだったら、「お母さんだって死ぬのいやだよー」と言いながらさえちゃんをぎゅーっと抱きしめて一緒に泣きます”と回答して います。質問をした子の「悲しみ」という感情を、頭で考えずにコトバとカラダで共有することを彼の回答として挙げていました。

自分としては、ロジカルな答えと谷川俊太郎の答えは、両方とも真実だと思うのです。
ロジックだけでなく、感情、感覚的にも物事を捉えるのが人間です。
これが、自分を振り戻して改めて分った事でした。
人は常にものごとをまず感覚で捉えます。その捉えた内容に対して確信が持てない時、何故?が生まれた瞬間、物事を頭で考えようとします。

 

◆お客様は感情とロジックで動く

これと同じことが、売り場でもおこっています。
ひとつの商品を見たとき、1人の人の中で、「カワイイ!」と思う感覚値が生まれます。しかし、そのかわいいに確信が持てず、不安であったり、不足感が生まれると、「何で?どこが?どうしてカワイイの?」と頭で考えだします。1人の人が1つのものを異なる観点から検証するのです。

実は、今の時代って、日本人が全体的に、この感覚値を鈍らせてしまっていて、まず頭で何でも考えようとする。これは、お客様がひとりでにそうなって行った訳ではなく、売り手があまりにも頭で考えたものを提供し続けた結果なのかもしれないと感じています。ですから、今、売り手側が必死になって、『お客様視点を持とう』と叫んでいますが、その言葉の実態には違和感を感じています。
『お客様視点を持つ』ことは、お客様が何を買ったかという情報を、売上げ数値で見ることでは無いと思うのです。売上げ数値の分析だけでお客様を知ろうとすれば、商品企画も同一化していきますし、ましてや、その商品を使って売り手、作り手の創造力が売場で表現できるわけも無く……お客様からすれば、店舗で買い物をする事によって問題解決は出来ても、そこに感動など、感じられるはずも無いのです。

そうかと言って、クリエイティビティやコダワリに走りすぎても、その価値を裏付ける根拠が無く、ひとりよがりでお客様の求めるモノ・コトとはミスマッチな売場になってしまい、お客様の支持(感動)を得ることはできません。
まずは、お客様のニーズや本質的な喜び、理想をしっかりと感じることができる感覚値をもつ事が重要で、その感覚値をさらに正しい方向に導き見極める為にロジック的な分析を行う。ここから導き出された一つの仮説に、更に感覚的なレイヤーを掛け、また更に理論的に分析する……
この作業の繰り返しが、お客様の求めるモノ・コトを紐解く、感情とロジックを繋ぐサイクルとして商品や売場を深掘りさせるのです。

 

◆売場はエンターテイメント

お客様が、モノを買う時の比較基準は、ブランドAを買うか、ブランドBにするか?決してそれだけでは、ありません。お客さまがモノを買うには、友達と会ってお茶をして会話を楽しむ、話題の映画を観てその後映画についておしゃべりをする、エステに行ってリフレッシュする、素晴らしい舞台演劇を見に行く、などなど、様々な価値、感動基準から自分にとって最も有益性の感じられるモノ・コト、感動体験が出来るモノ・コトに対して、その対価を支払っても良いと判断します。よってどんな商品だとしても、お客様に『感動が得られそうだ』と感じてもらえるかどうかが、売場にとって、そして、VMDにとって最も重要なのです。

 

◆VMDは商品とお客様の取次者

そんな今こそ、「お客様に感動して頂くためにどうしたら良いのか」という事をより深く掘り下げ、その時々で最適な手法をとるべきなのかを考える必要があります。店舗のあるべき姿を掘り下げるためにやらなければならない事に終わりはありません。
お客様が発している、小さなサインにいち早く気づくこと、それは店舗にも数値にもそして実際一人の消費者である私たち自身の心の中にも存在しています。店舗の運営は、それに気づくこと、その繰り返しで、どこまでやれば十分という事もなく、常に不足感を持って維持継続する仕事です。
売場の「良い」は、商品、サービス、店舗など、数多くの要因が含まれており、その全てが、商品とお客様が出会って、円滑なコミュニケーションを取り合いながら成長しあうために必要な要素となるのです。

あなたのお店は顧客視点でエンターテイメントになっていますか?


深澤智浩のブログ:VMDブログ 見かけ倒しじゃ終わらないっ!
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