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コンサルタント特集 VOL.03 海外での日本のファッションの可能性を語る! ファッションビジネスコンサルタント 山中健

Profile プロフィール

山中 健(やまなか たける)

ファッションビジネスコンサルタント

アパレル業界を中心に、百貨店、大手から個店まで、幅広い業態におけるコンサルティングを手掛ける。調査設計から戦略策定、行動計画への落としこみ、そして教育研修にいたるまで、マーチャンダイジングに関してのコンサルティングを得意としている。
特に豊富な実務経験と活性化事例に基づく教育研修は説得力があり高い評価を得ている。
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今回は、国内10大都市16エリア、欧米4カ国、アジア10カ国20エリアの市場トレンドをウォッチしていらっしゃ る、山中コンサルティングオフィス 代表 山中健氏に各国の市場と日本との比較の中から、海外での日本の ファッションの可能性、課題についての考察をお伺いしました。

 

◆お1人で、かなり多岐にわたる市場をご覧になっていらっしゃいますが、全体的な印象はいかがでしょうか。

各国の市場を見ると、まるで歴史年表を見るように、市場成熟度の段階が見えます。成熟度の高い順に、欧米、 日本、香港、韓国、アジア諸国が続き、ベトナム、インドなどはまだまだ途上だと思います。これは、各国に成立 しているファッション業態をウォッチすることで見えてきます。 これは、セレクトショップと言う業態が市場で成立しているかどうか、というモノサシで、「セレクト以前・以後」で 分けると分かりやすいと思います。欧米、日本、香港などがセレクトショップ成立以後で、韓国、タイ、シンガポー ル、マレーシア、中国、などにもセレクトショップはありますが、まだ一部の特殊業態という感じで、セレクトショッ プ成立以前という段階と位置づけられます。

一番強く感じるのは、どの国に行っても、ファッションの最先端は変わらないという事です。これは、ある意味発 見です。市場トレンドを見極めるポイントは、2番手、つまり先端に次ぐブランド群ですが、ここにどんなブランド がポジショニングしているかという点です。 現地のファッションに敏感層にリアルに支持され、買われているブランドが、そのエリアを象徴していると思いま す。

例えば、DiorやJohn Galliano、マックィーンなどのヨーロッパのデザイナーズブランドが最先端だとすると、 NYで2番手になっているのは、NYブランド。東京だと、国内ブランド。中国だと、いきなり大衆ブランドが来る、と いう様な感じです。これらの違いは、各地のセレクトショップを見るとわかります。

 

◆欧米、アジアと分けてみて、それぞれの最近の市場傾向はどうですか?

欧米では、3年位前から日本ブランドが2番手になるケースが増えてきています。特に、メンズでは、欧米デザイ ナーの「メンズブランド」は大人を対象にしたものが多く、若者向けはいわゆる「カジュアルファッション」が主流と なっています。
日本デザイナーの「メンズブランド」は、若者向けのモードなので、市場の隙間的なポジションとなっており、それ が新鮮に見えて、支持につながっていると思います。

 

◆レディースはどうでしょうか?

以前から、Comme des Garcons、Y’s、tsumori chisatoなど の評価は高いですが、これは、日本ファッションとしてというより、デザイナー個々に対する評価だと思います。基本的に日本のレディースファッションの源泉は欧米ですが、現在の日本市場はかなり成熟しており、日本独自のファッションスタイルが構築されていますよね。日本のレディースファッションは、全てにおいて日本のライフスタイルにそったアレンジが加わっています。 欧米には、日本のメジャーカテゴリーである「OLファッション」「ギャル系ファッション」の背景となるライフスタイルが無いため、残念ながら、日本女性のリアルクローズが欧米で支持されている手ごたえはありません。

 

◆アジアではどうでしょうか?

日本独特のファッションに対する憧れを持っている人が増えている印象があります。特に、香港は日本ファッションブランドが手に入りやすくなってきているので強く感じます。また、日本雑誌の輸入版、現地版、海賊版DVDで観る日本のTVドラマなどの影響もあり、洋服のスタイリング以外、メイク、ヘアー、アクセサリーのつけかたなども日本のOLさん的な人を多く見かけるようになりました。
また、外資系企業のオフィスが集まるエリアであるセントラルなどの先進エリアでは、日本人よりも小奇麗な日本風ファションの女性を見かけることもあります。

 

◆日本のファッション市場が縮小する中、日本プラス1で市場拡大を考えるにあたり、欧米、アジアでの戦略の違いは何でしょうか?

まず、欧米の市場は大きいですが、競合は非常に激しいですね。そこで日本だからこそできる差別性を持つことが大事です。欧米では、おしゃれ=「個性」と考えている層がいます。この個性を重んじる層は決して多くはないですが、日本にとっては狙い目です。過去において、日本の個性的なデザイナーが受け入れられたのと同じ背景ですが、ゴスロリや、キティちゃんの人気が高いことからも分かるように、受け入れられる「個性」は、必ずしも高尚なものでなく、ポップやカジュアルなものでも良いのではないかと感じます。アジアは、市場規模は小さく、1人当たりの消費はまだ低いですが、成長マーケットです。

また、 生活者の平均年齢も相対的に若く、経済も成長しています。今後大きな市場となっていくでしょう。 そして、日本に対する憧れもあります。国によっては欧米に対する憧れを上回っています。
しかし、残念ながら欧米系のブランドはたくさん出揃っているにも関わらず、日本のブランドは本当に少ないのが現状です。なので、日本は後発になりますので、欧米系との差別性と日本のファッションを好む層をしっかりと見極めることが必要でしょう。欧米系ブランドを購入する富裕層に日本ブランドを買っていただくことは大変だと思います。狙い目は中間層の若者です。

日本ブランドは、欧米発のファッションを東洋人である日本人の顔立ち、体型、そして価値観に合うように、アレンジして商品を企画してきました。その企画力はアジアマーケットにおいては大きな強みになると思います。出店にあたっては、1カ国内では、まだ出店候補地が少ないので、アジアをひとつのエリアとして捉える戦略が必要でしょう。ZARA、MANGO、TOP SHOP、FOREVE21など、欧米のファストファッションの様に、ブランド発信力の強い香港、台湾から、中国、東南アジアへ拡大し、アジア全体で儲けるビジネスモデルの構築が必要だと思います。

価格戦略について、アジア、アセアンで、ZARAなどのブランドは、それぞれの国の「中の上」か「上の下」に位置しています。日本市場でいうとライセンスブランドがいる位置ですね。ボリューム層を獲得するなら、このあたりをターゲットにしたMDが前提ですが、デザイナーライセンスブランド程度の完成度や感性が必要です。非常に難易度は高く感じられますが、このようなブランド開発ができれば、日本の郊外SCや、地方でもいけると思います。

日本のアパレルが、現地の日系百貨店などに進出した場合、は館の顧客と展開するブランドのギャ ップに気を付ける必要があると思います。基本的に百貨店の顧客は大人の富裕層で、日本のブランドに対する ニーズの低い層なので、日本のファッションが好きな若い中間層にマッチした商品開発と立地の選択が必要で しょう。

 

◆最後に日本のアパレル業界へのメッセージをお願いします。

日本の衣料・履物市場は残念ながらどんどん市場が縮小しています。今は、金融危機以降の不況で、目先の売上を確保することが急務になっていますが、中長期的に、アジア進出は、外せないはずです。特に日本市場で大きなシェアをとってきた大手アパレルはそうだと思います。
その際、気をつけなければならないのは、「アジア=中国」ではないということです。香港・台湾という情報発信地から、中国に広げるというストーリーだけでなく、ASEANにも視野を広げた方がよいと思います。現地の生活者はそれを望み、そして、日本ブランドにはそれだけの魅力があるわけですからね。