小島健輔 第1回 香港・上海編 | インタビュー | アパレルウェブ

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Interview
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アパレルウェブの業界人ブロガー堂々1位のプロフェッサー小島。
3月末から4月上旬のブログにアップされた香港、上海の市場視察レポートには、いつもに増して辛口メッセージが…。

ファッションを海外で稼げるリーディングインダストリーに育てていくには何をすべきか、(経済産業省 産業構造審議会 競争力部会)という議論がある中、先生のブログから読み取れる「グローバル」と「本気」に突っ込みを入れるべく、『プロフェッサー小島』改め、(ご本人同意ナシ)『上海帰りのケン』のインタビューを敢行して参りました。

キーワードを拾ったブログの引用はこんな感じ。

外資SPAが続々と上陸してガラパゴス市場の古い常識が悉く崩れ、アジア市場では世界中の強豪が競う中、もはやグローバルに通用するビジネスモデルとブランディングでないと生き残れません。

同質化してキャラのボケた日系ブランドはまったくお呼びでなく、『日本ブランドへの憧れ』は日本側の幻想に過ぎません。

日本のアパレルは中国市場をナメめている。これでは本気で来ている韓国系や北欧系に太刀打ちできない。

退化著しい日本のファッションビジネスは進化するアジアに取り残されてしまうよ。

なんか大変な事になっています。

今回はどんなスイッチが入って、アジア視察をされたのでしょう?

今、日本の閉塞感に息がつまりそうになった。前に進んでいる文明に触れないと自分も煮詰まると思った。それで『アジア』。

ブログのレポートを読むと、なんか危機的な感じなんですけど

  今、日本は、企業も社会も走りたくても走れていないと思う。

日本と日本の教育が、団塊ジュニア以下の人たちを退化させてしまった事が大きな要因。
学校では、生徒を鍛えようとすると親が文句を言うし、企業では部下が挫折すると上司の責任が問われてしまう。
そうしたら、もう、幼稚園的な接し方しかできなくなる。

学校の運動会で「かけっこ」をやらないとか、パワハラや労働者の権利の拡大解釈ですね。

そういう若者の存在が大きくなると、社会も企業もそこに合わせるしかない。結果、社会や企業が停滞して“仲良し社会”にならざるをえない。

でも、がんばって伸びるところは伸びてますけど。

まあ、日本でもユニクロなどに飛び込んで努力している若い人も居るので、一概には言えないが、所得格差だけじゃなくて、
感性や意欲にまで格差が出来てしまっているのを感じる。

その辺、アジアは違うんだよ、と?

  そう。

韓国や中国は、ついてくる人だけ来い!と若者に競争を強いている。
もともと、みんな平等、格差を無くそう、としてきた共産党一党支配の中国が、今では思い切り『競争的資本主義』になっている。

逆に、資本主義だったはずの日本が、みんな同じ『仲良し社会主義』になっている。

競争したり、がんばる感じが無いですか?

今の団塊ジュニアまでがギリギリ競争を経験した最後の世代なんじゃないかと思う。
競争して抜けたら、自分でネットワークを作る。当然つぶそうとする力にも直面するけれど、それが社会人の生き方っていうもので、幼稚園のように
「全員と仲良く」なんてありえない。
それを、今の企業や社会が競争しない若い人に合わせているから低迷、閉塞、ガラパゴスになってしまう。

以前はどうだったんでしょう?

今より起業しやすい環境があった気がする。先輩ががんばる下の世代の起業をバックアップすることが有ったが、
今は、志をもつ若い人を周りがサポートを提供する「しかけ」が欠けているんじゃないかと思う。
若い人は若い人で「業界の将来を変えるゾ!」 という ビジョンを見せないといけない。

アジアにはそれが有る?

  アジアには成功した先輩が後輩に投資して後押しをする関係が有ると思う。

これは一種のギャンブルだが、応援した人が何かやるかも知れないと期待するのは楽しいリスク。
投資する側もされる側も相互ギャンブルだが、温かみのある「しくみ」だと思う。

あえて言えば、一時、日本のIT業界はそうだった様だが、そういうのがファッション業界には欠けていると思う。 

よく、『若手デザイナー育成』と銘打って企業が新ブランドで抜擢するのは違うんですか?

ほとんど機能していないと思う。
これには、デザイナー側に素養の問題もある。
結局、これも教育や業界の構造の問題だが、今のデザイナーの問題は、美術的文学的基礎が薄弱で、クリエイティビティの水準がインダストリアルなレベルで低い事。

??スミマセン、カタカナいっぱいで良く分かりません…

ゆとり教育のせいか、育った環境のせいか、美術的文学的素養が乏しく、独自の文明観や美意識を欠いている。
机上でデザインしても、それが生産現場と繋がって仕様に直結したクリエーションが無いと、「作品」は作れても「商品」はつくれないという事。

なるほど。今の日本には生産現場なんてほとんど無くなっていますからね。

クリエーターがモノを作る技術を実感できる場が無いし、教育でも、学生を集めたいために、若い人たちの技量や興味のある内容に
カリキュラムを合わせてしまっていて、幼稚園化している。

やっぱり海外ですか。

そう。でも、だからと言ってパリに行く時代では無い。
中国や韓国から産地に入らないと、日本だけを見ていたら、あるべき時代のリズムに取り残されてしまうと思う。

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小島健輔 (こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。

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