ファッション・キャピタル東京考察論 | 山中健のWorld Report Vol.9 | コラム | アパレルウェブ

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2010.4.6 Vol.9 >>バックナンバー
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Vol.9 ファッション・キャピタル東京考察論

ファッション・キャピタルとは

このコラムで私は、何度もファッション・キャピタルという言葉を使用してきました。日本にいるとあまり聞きなれないのですが、海外で仕事をすると、このファッション・キャピタルという言葉を耳にします。ファッション・キャピタルとは、ファッションにおける重要都市で、パリ、ニューヨーク、ミラノ、ロンドンなどがよく知られています。世界戦略を行っていく上ではこれらの都市におけるマーケティングが重要とされています。これらのファッション・キャピタルにおけるマーケティングは、世界に広がっていくのです。

シンガポールで日本のブランド進出の支援をさせていただくプロジェクトで、事前調査の際、現地企業から「まずは、ファッション・キャピタルに進出して、それからシンガポールにこなきゃ、ユニクロみたいに」などという話をいただきました。「やっぱり、そうか」と思うと同時に、「東京ってファッション・キャピタルと思われてないのか」と実感しました。

 

 

ファッション・キャピタル4つの条件

それでは東京のファッション・キャピタルとしてどのように評価できるのでしょうか。私はファション・キャピタルとしての評価のポイントは以下の4点であると思います。

1.世界的に活躍するデザイナーを輩出している
2.その国独特のアイデンティティをもったファッションスタイルがある
3.ファッションを育てる投資家、販売者、消費者、評価者が存在する
4.世界のファッションマーケットに発信することができている

「1.世界的に活躍するデザイナーを輩出している」という点では、日本は評価できるでしょう。アジアにおける先駆者として、森英恵、川久保玲、山本耀司、三宅一生などの各氏が活躍してきました。そして、現在もアンダカバーやジュンヤ・ワタナベをはじめ、多くの日本人デザイナーの商品が、ファッション・キャピタルにあるセレクトショップや高級百貨店で扱われており、注目を集めています。

「2.その国独特のアイデンティティをもったファッションスタイルがある」という点ではどうでしょうか。日本はずっと、「ファッション化=西洋化」という図式のもと、欧米のファッションを模倣・改良してきていました。その過程の中で、日本のストリートカルチャーと誘発し、独特のファッションが構築されてきています。わかりやすいところでは、「ギャル」「裏原」「ゴスロリ」といったものです。

またレイヤードを基本とした日本のリアルクローズも注目を集めています。しかし、それらは、現状では海外の「日本好き」の範囲の中の出来事です。というのは、魅力的な商品を持つ送り手はいるのですが、海外へ発信していく意志を持っている方は少ないため、海外の「日本好き」がわざわざ、情報にとりに来ているという段階です。そのため、日本ファッションのアイデンティティといったものは、まだできていないという状況だと言わざるを得ません。
 
[原宿の裏通り]

[ニューヨークのMERCEDES-BENZ FASHION WEEK会場の写真]

「3.ファッションを育てる投資家、販売者、消費者、評価者が存在する」という点では大きく肯定することはできないのではないでしょうか。減少気味ではあるものの、他のアジア諸国と比べて日本の消費パワーはまだまだ大きいので、ファション好きな消費者が多い国であるといえます。しかし、投資家のファションビジネスに対する評価はまだ低く、そしてリスクをもって独自の仕入れをする販売者もまだまだ少なく、ファッションに対する評価者もまだ少ないと言わざるを得ません。
「4.世界のファッションマーケットに発信することができている」という点については、不足していると言わざるを得ません。

「東京コレクション」を核としたJFW(ジャパンファッションウィーク)を展開していることから、東京は4大コレクションの開催地(パリ、ミラノ、NY、ロンドン)に次ぐ都市であると思いがちですが、残念ながら欧米のファッション業界の方からはそうは思われていません。

ファッション・ウィークというものは、全世界で100を超す都市で開催されています。その中で東京コレクションは、1985年開始と比較的新しく、NYの1943年はおろか、香港の1968年より歴史は新しいのです。また、東京コレクションの永遠の課題として、日本人デザイナーは有名になるとパリコレクションなどに活動の場所を動かしてしまうため、目玉が少ないとも言われます。そのため、欧米のファッション業界人がわざわざ12時間以上をかけて来ることは少なく、欧米においては、ベルリンやバルセロナなどのコレクションの方が、存在感があるとされています。

中国、香港、韓国、台湾という東アジアのファッション業界人からすると、東京というのはファッションの重要都市であり、東京にマーケットリサーチや、サンプルバイイングのために来日しています。しかし、ASEANでは、「日本人はお洒落」というイメージは、日本のドラマや雑誌を通じて感じているようですが、ファッション・キャピタルとしての存在感は東アジアのそれと比べて低く、香港と僅差というレベルのようです。

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ファッションビジネスコンサルタント 山中健

大手百貨店、外資系ファッションメーカー、大手コンサルティングファームを経て、ファッションビジネスコンサルタントとして独立。マクロデータ分析、店舗調査、生活者調査などの徹底したリサーチをベースとし、マーケティング及びMDのコンサルティングを行っている。
2009年よりアパレルウェブコンサルティングファーム上席研究員として、活動を開始。「日本のファッションを世界に」を実現するために、欧米、アジア、国内のファッション市場調査活動を実施中。2008年度 経済産業省 アジア大洋州課 受託事業「アジアトレンドマップ」のディレクションを担当。

ファッション・アパレル企業向け海外進出サポート・コンサルティング | aw-research
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