特異化した日本ファッションマーケット | 山中健のWorld Report Vol.1 | コラム | アパレルウェブ

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山中健のWorld Report
2009.7.29 Vol.1 >>バックナンバー
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Vol.1 特異化した日本ファッションマーケット

日本のファッションマーケットが特異なものになった要因

この要因を明確にするには、まだまだ研究が必要ですが、私は以下の要素が大きく影響を及ぼしていると思います。

(1) 特殊な生活者層
日本のファッションマーケットは「洗練された中間層」によって成り立っています。ヨーロッパのような階級社会でも、NYのような富裕者層がリードするマーケットでも、アジアのような低所得者層の上に立つ消費特権階級者が牽引するマーケットでもありません。普通のOLやビジネスマン、学生が、ラグジュアリーブランドを買ったり、低価格訴求の郊外ロードサイド衣料品店で買ったりするのが日本のマーケットです。そのため、世界各国と比べて、生活者間の価格感覚、ファッション感度にそれほどの乖離はないと言えます。格差社会、低所得者比率増大といわれていますが、世界と比べると消費に対する意識にそれほど差はないのです。
 
【 FOREVER 21 】

(2) 特殊なファッション観
欧米のファッションは「大人のファッション」とよく言われます。女性であれば、「セクシー」が最大のほめ言葉であります。 そして、身のこなしを含めた「エレガントさ」が良しとされます。「大人の女性」「大人の男性」に到達するために、ファッションのレベルをアップさせているのが欧米です。そして、アジアの富裕層にも共通する価値観が窺えました。その一方、日本は「いつまでも若い」「いつまでも可愛い」が最大のほめ言葉です。そして、それらは、静止画での美しさであることが多いのです。また、欧米とは異なり、「個性的」といわれることを、褒め言葉として捉えず、仲間から「浮いている」ことを嫌います。日本人全員がそうであるとは言いませんが、消費を牽引してきた層は、そのような傾向が強かったのではないでしょうか。

(3) 特殊な商業環境
日本のファッションの特異化が進んだのはこの20年程度だと思います。
この間に、アメカジから渋カジ、裏原、ギャル、お兄系に、コンサバファッションから赤文字系、などに細分化し、それぞれの細分化したファッショングループが深化と進化を遂げました。このことに大きく貢献したのが、駅ビルを含むファッションビルの興隆でしょう。百貨店が高級ファッションや大人ファションを主軸としたMDに邁進している傍らで、ターゲットを細分化したファッションビルが、ファッショングループの深化と進化の器となりました。渋谷・原宿で育ったその器は、ターミナルビルへ移動し、地方まで広がり、ファッションの伝播に大きく貢献したのだと思います。
 
【 ラフォーレ原宿 】

そして、このファッションビルという業態は欧米には見当たりません。アジアでは、一部、似たようなものがありますが、館のコンセプトが一つのファッションスタイルになっているようなものは見当たりません。上から下までファッション及びファッション関連のテナントで構成されたファッションビルは、各ファッショングループのタコツボと化したのです。

(4) 特殊な雑誌メディア
日本のファッションマーケットを特異化させた最も大きな要因は「ファション雑誌」だと思います。今や、日本のファッション雑誌数は世界一だと思います。昨年から今年にかけて、アジアのファッション誌の分析する調査をしたのですが、日本のファッション誌のカテゴリー数、ファッション頁の構成比の高さに改めて驚きました。
参考までにアメリカの雑誌も調べましたが、ファッション誌に限れば日本のファッション誌の方が数多いですし、そしてそれぞれの雑誌とファッショングループが連動しています。ファッション雑誌は、他誌と差別化するために、隙間への開発を進め、部数を伸ばすためにリアルなファッション、リアルなライフスタイルを提案していくうちに、日本にしか存在しないファッションスタイルが構築されていったのです。

これらの要因から、細かいファッショングループに分かれ、そして日本独特のファショングループを多く生んだのだと思います。世界のさまざまな国のマーケットを見ても、こんなに多く、こんなに特徴のあるファッションがある国はないでしょう。そのため、「日本のファッションは面白い」「日本の若者はお洒落」と世界が注目し始めているのです。

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ファッションビジネスコンサルタント 山中健

大手百貨店、外資系ファッションメーカー、大手コンサルティングファームを経て、ファッションビジネスコンサルタントとして独立。マクロデータ分析、店舗調査、生活者調査などの徹底したリサーチをベースとし、マーケティング及びMDのコンサルティングを行っている。
2009年よりアパレルウェブコンサルティングファーム上席研究員として、活動を開始。「日本のファッションを世界に」を実現するために、欧米、アジア、国内のファッション市場調査活動を実施中。2008年度 経済産業省 アジア大洋州課 受託事業「アジアトレンドマップ」のディレクションを担当。

ファッション・アパレル企業向け海外進出サポート・コンサルティング | aw-research
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