2013年上半期 日本上陸海外業態、総まとめ(1/2) | 山中健のWorld Report Vol.25 | コラム | アパレルウェブ

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2013.06.19 Vol.25 >>バックナンバー
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Vol.25 2013年上半期 日本上陸海外業態、総まとめ(1/2)

2013年の上半期は、海外業態による日本上陸が相次ぎました。今年の傾向は、低価格業態や、日本の消費者に合わせて磨きあげたMDを選択したケースが目立ちました。そのような、「憧れ型業態」よりも「共感型業態」が主流であると言えそうです。

グローバルSPAの関連業態上陸相次ぐ

2008年から2009年に上陸が相次いだのがグローバルSPA。H&Mやフォーエバー21の行列はニュースになりました。それから約5年経って、グローバルSPAはすっかりと日本に根づきました。百貨店に入って物議を醸しだし、SCに入店して他テナントから反対の声が相次いだのも、懐かしく感じるようになりました。今年になって関連業態が上陸したわけですが、主力業態が上手くいき、そして目ぼしい場所への出店が済んだので、関連業態を進出させたのでしょう。

H&Mグループは6月、大阪・心斎橋に傘下のヤングカジュアル業態「MONKI(モンキ)」とブランド複合業態「WEEKDAY(ウィークデイ)」を出店させました。特に「MONKI」の出来は上々でした。ロンドンや香港で見た時から、日本のマーケットに合致する商品属性と感じましたが、それもそのはず、「MONKI」は日本のストリートカルチャーからインスパイアを受けたMDが特徴なのです。価格も、H&Mとほとんど同じです。しかも、世界同一価格を謳っているのですから、日本のレディスカジュアル業態からすると手強い存在です。


大阪・心斎橋にオープンしたMONKI

ZARAを主力としたINDITEXグループが今年上陸させたのが「ZARA HOME(ザラ・ホーム)」です。大阪駅の前にできた、超大型モール「グランフロント大阪」と横浜の郊外モール「ららぽーと横浜」にオープンさせました。ヨーロッパで見るのと同じパッケージで、世界各地、ほぼ同じMDで展開しているとのこと。

ZARA HOMEの特徴は、豊富なデザインを誇るファブリックとデザイン属性による売り場分類です。これが最大の魅力であり、そこから浮き出る雰囲気は、これまでのホームファッションに差異化を図っています。ただし、日本人にとって買いやすい分類かといわれれば、そうではなく、しっかりと予習をして買いに行く、もしくはスタッフに相談して買うことが必要です。ちょっとした雑貨を記念として、またはお土産として買う程度だったら問題はないのですが。

ショールーミングを果たすような日本版WEBを立ち上げ、質のよいスタッフの継続的確保といった販売補助を強めれば、多店舗化に弾みがつくのではないかと思います。


横浜ららぽーとのZARA HOME

昨年上陸したGAPグループのOLD NAVYも好調のようですし、グローバルSPAの業態と同等かそれ以下の業態は上手く行くでしょう。一方、H&Mグループの「COS」、インディテックスグループの「Massimo Dutti」などの上位業態が、日本でなくアジア主要都市を出店先として選んでいます。つまり、全世界を見渡しているグローバルSPAからすると、日本の安価なマーケットに勝算ありと考えた結果なのでしょう。

アジア勢の業態は日本でうまく行くのか

上半期の大きなニュースは、韓国のイーランド社の「MIXXO(ミッソ)」が日本に上陸したことです。イーランドグループは、中国の成功で知られ、中国に進出する日本企業がお手本にしている企業です。

その中国を制したイーランドが日本に上陸するというニュースに、日本の流通業界は驚きました。韓国と日本は、マーケットは大きく異なりますし、中国の成功は中国への限りないローカライズ化によるものですから、そのままでは上手くいかないことは予想がつきました。ただ、日本への徹底したローカライズをしたら、日本ブランドにとって大きな脅威となると思っていました。

しかし、いざ開店してみると「拍子抜け」というのが正直なところです。日本向けにローカライズをしたそうですが、その商品属性は、韓国そのもの。韓国ならではのエレガント系です。もっとモードカジュアルなものにシフトしてくるかと思っていました。プロモーションも、大きなことをしていません。現段階では、日本へのローカライズは中途半端なものに終わっています。今後どのように修正していくのか、注視していきたいと思います。




横浜そごうのMIXXO

日本に上陸して磨きあがったのが、シンガポールのシューズSPA「Charles&Kieth(チャールズ&キース)」です。LVMHも投資した注目の業態で、ASEANで大人気です。

ジミー・チューやクリスチャン・ルプタンのような、エレガントなデザインをケミカルのフラットシューズやサンダルに落とし込み、現地価格でいうと\2,900ぐらいで販売することで知られています。ASEANでは毎日のように大雨が降り、かつ宗教的問題もあるレザーは一般的でなく、地元の女性はケミカルシューズで足元のお洒落を楽しみます。日本の方をこの業態に案内すると、だいたいの方は気に入り、「日本に来たら売れそう」と言っていたものです。

その「Charles&Kieth(チャールズ&キース)」がオンワード樫山と組んで日本に上陸したのですが、その品ぞろえ、店の雰囲気は、現地とは違った趣でした。現地では「ラグジュアリーでエレガント」なイメージだったのですが、日本では、ショッパーなどにハートを加え、「ラブリーでキュート」な要素がミックスされています。

日本の消費者を意識してのことということは間違いないですが、ASEANローカルからインターナショナルというステージにあがったという見方もできます。立地はOLの多いところが最適のはずで、駅ビルなどへの出店が期待されます。しかし、駅ビルには、1万円前後を中心とする靴チェーン店が必ず入っていますから、既存テナントからの反発もあるでしょう。そのあたりの問題を、駅ビル側がクリアにしたら、一気に広がっていくものと思われます。


原宿のCharles&Kieth

アジア勢はこれまで、いくつも上陸しては失敗してきました。「Charles&Kieth(チャールズ&キース)」もまずまずというところですが、このことにより日本向けに商品を括り直し、業態を磨きあげれば、参入余地があることが明白となりました。低価格なアジア勢のSPAのうち、次は何が進出してくるのか、要チェックです。

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ファッションビジネスコンサルタント 山中健

大手百貨店、外資系ファッションメーカー、大手コンサルティングファームを経て、ファッションビジネスコンサルタントとして独立。マクロデータ分析、店舗調査、生活者調査などの徹底したリサーチをベースとし、マーケティング及びMDのコンサルティングを行っている。
2009年よりアパレルウェブコンサルティングファーム上席研究員として、活動を開始。「日本のファッションを世界に」を実現するために、欧米、アジア、国内のファッション市場調査活動を実施中。2008年度 経済産業省 アジア大洋州課 受託事業「アジアトレンドマップ」のディレクションを担当。

ファッション・アパレル企業向け海外進出サポート・コンサルティング | aw-research
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