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THE MAXREの米国ファッションビジネストレンド vol.40
消費者の心を掴むカギ アメリカンイーグル社の多角経営とローカライズ戦略
2017.3.8
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アメリカンイーグルのタイムズスクエア店

苦境のティーンブランドチェーンの中で、唯一マーケットシェアをキープし売り上げを伸ばしているアメリカンイーグル社。先日発表された2016年の純売り上げは前期比2%増で36億1,000万ドル、既存店の成長率は3%増という微妙な結果。要因はアメリカンイーグル(AE)部門の売り上げが伸びず、特にメンズ商品に問題があるものの、姉妹店「エアリー」の既存店売り上げにおいて、第1四半期が前期比17%増、通年では23%増という好調ぶりに助けられた形となりました。消費者とコネクトする事が重要課題としてあがる中、AE社の地道な多角経営もビジネスを堅調に伸ばしてきた要因だと注目されています。といっても大きな事業ということではなく、ターゲットのライフスタイルや心理を察知しながらテストしているという印象。テスト運営なんてどこでもやると思われるかもしれませんが、不調な部署は切り捨てるという企業が多い中、時代の流れを読みながら貪欲にチャレンジする企業は数少ないのではないでしょうか。アメリカンイーグル社が、少しずつトライしているマルチチャンネルを見ていきたいと思います。

 

ゆる〜いライフスタイルの若年層をキャッチ! 二番煎じの「Don't Ask Why(ドント・アスク・ホワイ)」は継続運営


AEの店内で展開して居る「Don't Ask Why」インショップ@ソーホー店

イタリア製・ワンサイズのみの展開で人気のブランド「ブランディ・メルヴィル」のコンセプトを真似てスタートした「ドント・アスク・ホワイ(Don't Ask Why)」。予定の期間を過ぎロングランで運営していたNYソーホーのポップアップショップは閉店し、現在、AEの店内で継続展開しています。レディース商品の4分の1ほどの売り場を占めているので、本格展開と言えます。上の写真はこの春のライン。NYをイメージしたエフォートレスなストリートファッションがコンセプトで、フェスやビーチを思わせるサンダルやアクセサリーなどのファッション雑貨も展開しています。姉妹店エアリーの方は、ボディポジティブキャンペーンでぽっちゃり女子からも支持されていますが、このブランドの場合、ブランディ・メルヴィル同様に、イタリア製のワンサイズが売り。着用する人が限られるという、この矛盾。消費者はどう感じているのか気になるところですが、リラックススタイルを好む、選ばれしスリムな消費者層に向け絶賛継続中といったところ。

 

ローカライズ戦略で地元学生のハートをキャッチ! 大学生ターゲットの「テイルゲート」を展開中


ジョージア州の「テイルゲート」店舗

AEのウェブでは、大学生のドーム(寮生活)のためのベッドリネンをはじめ、ユニークなインテリアグッズが販売されています。また、あまり知られていませんが、大学生をターゲットに数年前から運営しているサブブランドが存在するのです。トッド・スナイダーと父親が1991年にスタートした「テイルゲート(Tailgate)」を、2015年に1,100万ドルで買収。オールドスクールテイストが特徴のカレッジアパレル「テイルゲート・カレッジライン」をスタートし、現在4店舗とウェブサイトで販売しています。商品は、NFL(ナショナル・フットボールリーグ)×ミュージシャンのコラボや、50の大学ロゴ&キャラクターをベースにしたヴィンテージテイスト。昨年オープンしたウィスコンシン州の店舗では、グルメコーヒーショップ「キックアプー コーヒー(Kikapoo Coffee)」を併設し、ヴィンテージのコカコーラの販売機やオールドファッションのキャンディーショップをレジ横に設置するという仕様。また、地元のバーやレストラン、大学のマークとコラボするなど地域限定商品を扱ったローカライズ戦略が特徴となっています。将来的には、各州の大学近くに約60店舗オープンすることを目標に展開中。ライセンス商品が中心となるため価格は高めですが、スポーツファンや大学のOBも着用でき、何よりアバクロなどのロゴアイテムよりは、愛着が持てる意味のある商品といえるでしょう。

 

好奇心旺盛なグルメなハートを鷲づかみ!タイムズスクエア店の「ドリンクバー」


タイムズスクエア店に併設された「ドリンクバー」

ブティックでカフェの併設をするというのは、それほど珍しくありませんが、「アメリカン イーグル」タイムズスクエア店にオープンした「ドリンクバー」は、メープル・ウォーターやスパークリング抹茶、コンブチャ(KOMBUCHA)、ブラックベリー・ハイビスカスティーなど、新進メーカーのファンシーで珍しいドリンクを販売。洋服よりも飲み食いにお金を使う傾向にあるという世代が興味を持つようなドリンクをチョイスしたのは効果的と思えます。しかも、1杯につき3〜4ドルという気軽にトライできる価格帯。店頭に足を運ぶきっかけとなり、SNS投稿による宣伝効果も期待できそう?上の写真は、そのタイムズスクエア店のドリンクバー。立ち飲みスタイルのハイテーブルには充電ステーションも備えています。平日の夕方だったので、ビジネスマンの方が多く利用していました。

 

ヴィクトリアズ・シークレットが捨てた枠を奪う! エアリーはビーチウェアを本格始動


エアリーの水着売り場@ソーホー店

昨年、競合ヴィクトリアズ・シークレットが長年配布してきたカタログを廃止し、アイコン的アイテムであった「水着」の分野からの撤退を発表しました。年間5億ドルの売り上げがあったそうですが、ぽっかり空いたこのスポットを狙い、「エアリー」がこの春から本格的にビーチウェアをスタート。ビキニはオープン当初から扱っており、ウェブデータによると、前年比で17.5%増加(約6,100万ドル)していることが分かっています。店頭では“エアリー”テイストのキュートな水着のほか、カバーアップやビーチタオル、麦わら帽子、ポーチなど健康的なビーチウェアコレクションを展開。ウェブでは、昨年のインスタでも人気を博したユニークなプールフロートコレクションやビーチボールも販売しています。自然体の体型の女性たちを支持したポジティブボディ戦略が、「エアリー」の人気の理由となっていることは周知の通りですが、肌を多く露出する水着も同様の効果があると期待されています。加えて、ビーチやプールサイドでのパーティーなど、エクスペリエンス(体験)を伴う“遊び”のライフスタイルに関連した商品は、昨今消費者の需要も高く、将来的に有望なマーケットと言えます。

 

ヨガスタジオ併設でアクティブウェアを強化!「エアリー」ソーホー店


エアリーのソーホースプリングストリート店

昨年12月にオープンしたソーホー・スプリングストリートの「エアリー」ポップアップ店では、従来の店舗とは異なり、フラワーの販売や、週末には店内ヨガスタジオでのワークショップが行われています。ヨガなどのスポーツウェアは以前から取り扱っていましたが、水着に加え、強化カテゴリーとして積極展開するようです。ヨガイベントやフラワーショップには、ランジェリーの買い物以外にも目的を作り、消費者とコネクトしようという努力がみられます。現在、エアリーは、独立店舗は全米で102店舗、そのほか、88店舗のAEの店舗の中でインショップとして販売されています。今年は新たに50店舗のオープンを予定しており、水着やアクティブウェアのコレクションを積極展開していくようです。3月18日(土)は、先着50名にビーチタオルや、トートバッグがもらえるという「Happy Tour」、新作水着や下着のコレクションが紹介されるようです。

金太郎飴のような、どこを切っても同じ顔のチェーン店展開による拡大は終わりを告げ、多様化する消費者の需要を理解することが必要であり、住んでいる地区ごとのローカライズ・マーケティングも重要なキーとなっていくのではと思います。

 

《2016年末の店舗数》
アメリカンイーグル:943店舗
エアリー:102店舗
テイルゲート:4店舗
トッドスナイダー:1店舗
アメリカンイーグル海外ライセンス店:176店舗

《エアリー スプリングストリート店》
72 Spring Street
New York, NY 10012
(646)-416-5492

 



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