ファッション誌の未来(その2) | 栗田亮のクールジャパン新展開 Vol.9 | コラム | アパレルウェブ

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栗田亮のクールジャパン新展開
2010.6.29 Vol.9 >>バックナンバー
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Vol.9 ファッション誌の未来(その2)

規格の乱立

このように、現状の電子書籍には複数の規格があり、当面定まらない可能性が高いのです。コンテンツデータをどういう形式で保存し、その複製をどうコントロールするかという規格もまだ定まっていません。

連載第2回目「世界に好かれている『日本』」で、「クリス・アンダーソンの『無料のルール』」を取り上げました。
<あなたがどの業界にいようとも、《無料》との競争が待っている。それは可能性の問題ではなく、時間の問題だ。そのときあなたは、創造的にも破壊的にもなり得る。このフリーという過激な価格を味方につけることができるだろうか?>

デジタル情報をコピーするコストは限りなくゼロに近いため、いつでもコピーされ一瞬にして「無料」になってしまう危険をはらんでいます。コピーを制限する方法は、DRM( Digital Rights Management)と呼ばれます。
音楽業界はこのDRMの一種である「コピーコントロールCD」を導入しようとして失敗ことが、業界の衰退を招きいています。電子書籍は一回読んでしまえば役割を終えることも多いので、音楽以上にDRMが求められることになります。(コラム Vol.7

一方、DRMは、電子出版の利便性を低下させ普及を妨げる原因にもなります。
紙の本や雑誌であれば買ってきて本棚に並べるだけでよいのですが、電子出版で多数の規格が乱立すると、読者はコンテンツを一元管理することが難しくなります。
家のパソコンで読んでいた雑誌を、iPadや会社のパソコンでは見ることができないということが頻発する可能性が高いからです。複数の規格にコンテンツを対応させるのは無駄が多く、コストにも跳ね返ります。

こうしてみると、現在出版されているファッション誌が、そのまま電子書籍に置き換わっていくだろうと考えるのには無理があることがわかります。

一番足りないもの

電子書籍の未来について、ホリエモンこと堀江貴文氏は以下のような意見を述べています。

iPadこそが未来と、息巻いている雑誌の電子化は私はあまりうまくいかないような気がしている。
読む時間が足りなくなる。それに余計な装飾は要らないし、3Gのプアな読み込み速度では邪魔にすらなるような気がしている。ネットメディアのほうがタブレット端末にはうまく対応していきそうだ。
データ量の小さいテキストデータでなく、イメージデータで新聞をそのまま見られるなんて必要ないと思うんだよね。あれは紙媒体のためのフォーマットであって電子媒体向けのフォーマットではないのは明らかだ。みんなHTMLメールとかにしちまえばいいのにね。なんで拘るかなあ。。。
今みんなが感心してるページをペラペラめくることはできないが、そもそも電子ブックにそんなギミックが必要なんだろうか?そのうち飽きる気がしてきた。

堀江貴文 iPad時代の電子書籍の一形態としてのメルマガ

たしかに、今の雑誌のレイアウトは、紙という制約があったからこそ成立しているもので、電子版を作るにわざわざ再現するのはあまり意味のないことのように思います。
インターネット創成期に作られた企業ウェブサイトも、単なる会社案内パンフレットのコピーが中心でした。同じように、今は雑誌のコピーを電子版と称しているだけだとも言えます。
本当なら、ネットならではの特性を兼ね備えた双方向性のメディアがでてこなくてはなりません。

ちょっとした整形を加えシンプルなHTMLメールにしてみたら、ブックビューワーで見るよりもメーラで普通に読むほうが快適なのではないか?と感じた。つまり古くからある、いわゆるHTMLメールマガジンだ。
温故知新というべきか、iPadになってメールマガジンは有料・無料を問わず復権するのではないかと思ってきた。
私がこれから力を入れる媒体としてメールマガジンを選んだのは間違いではなかったようだ。3GやWiFiを搭載しているとはいえ、トンネルの中や電波状態の悪いところ、飛行機の機内などダウンロードしてから読むべきシチュエーションは多い。その辺もメールソフトが解決してくれる。
ふと空いた15-30分程度の時間にすっぽり埋まるメディアとしてメルマガはちょうど良いのだ。
  (堀江貴文 iPad時代の電子書籍の一形態としてのメルマガ)

雑誌が売れなくなった理由のひとつとして、「読むための時間が足りない」ということがあります。
かつてファッション誌は、持ち歩いて外出先などで読まれることも多い媒体でした。
ファッション誌を持ち歩くこと自体がファッションの一部だったのです。
ところが、ケータイやゲーム機などが登場し、読者の時間をどんどん奪っていきます。
雑誌を売りたかったら、読む時間をどこで取ってもらうかを考えなければならなくなったのです。

勤務時間中に堂々と雑誌を読むことができる仕事は多くないと思います。仮に電子化されたとしても、事情は変わらないでしょう。しかし、メールを読むことを禁止する企業はまずありません。
雑誌のコンテンツを分解してメールマガジンとして送れば、勤務時間中にも堂々と読めることになります。電子書籍の時代になって、逆にメールマガジンが復権するのではと、ホリエモンが予測する背景にはこういった事情があります。ローテクではあるがこそメールマガジンはしぶとく生き残るのではないかという見方です。

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栗田 亮(くりた まこと)
Tenkai Japan代表
『Cool Japan! カッコイイ*かわいい*たのしい*おいしい*日本を世界に発信』をテーマに、トラベル、ファッション、ショップ、ブランド、イベント等の情報を英語で積極的に発信中。
クールジャパン系の翻訳、通訳、海外マーケティングには定評がある。
英語WEBメディア「Tenkai-japan.com」企画・運営
翻訳、通訳、通訳ガイド、外国語サイト製作・運営サポート、訪日外国人プロモーション、海外マーケティング、JAPANブランドの海外展開支援
SEFA-EVENT(フランス・ジャパンエキスポ主催者)パートナー

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