ファッション誌の未来(その1) | 栗田亮のクールジャパン新展開 Vol.8 | コラム | アパレルウェブ

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栗田亮のクールジャパン新展開
2010.5.25 Vol.8 >>バックナンバー
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Vol.8 ファッション誌の未来(その1)

■ ファッション誌が売れない

我が国の消費者市場は、消費者のライフスタイルやサブカルチャーを背景とした高い感性とともに様々なジャンルのファッションが混在しており、アジアを中心とする海外から高い関心が寄せられている。
また、アジアにおける日本のファッション雑誌の人気や、平成21年7月にパリで開催された「JAPAN EXPO」において16万人以上を動員するなど、世界の流行の発信源として日本の消費者市場の独自性が非常に高い注目を浴びている。
このような海外の関心を活かし、世界における我が国ファッションの需要を高めていくことが非常に重要である。(経済産業省ファッション政策の検討ワーキンググループ報告書2010年3月より)


日本のファッション誌が海外から人気が高いことは、「高い感性」や「洋々なジャンル」を持つ日本ファッションの優位性の証拠とされてきました。
ところが国内では、今、大手出版社の女性ファッション誌が、軒並み「部数2ケタ減」と苦戦しています。

書店の店頭でめっきり薄くなった「CanCam」(小学館)や「JJ」(光文社)の姿を見ると、最盛期の勢いを知る者にとっては隔世の感があります。
「CanCam 2008年12月号」

人気モデルの蛯原友里、押切もえ、山田優が表紙を飾っていた「CanCam」は、いわゆる「赤文字系」雑誌の中でダントツの存在でした。「モデルが他の雑誌に比べてかわいい」「エビちゃん系、もえカジ系、優OL系のように、わかりやすい提案が参考になる」というネットの書きこみに象徴されるように、モデルに好感を持つ読者が多かったのです。

今でもCanCamは34万6466部と、ファッション誌の中では比較的売れている方ですが、前年同期比でみると24.25%減と大幅に減っています。「08年下期の雑誌販売部数」(日本ABC協会)

その一方で宝島社の「InRed」は107.22%増の23万4583部、「sweet」は65.11%増の31万9364部、「spring」(宝島社)は37.58%増の24万867部と、「雑誌不況」をものともしない絶好調ぶりを誇っています。
09年上期の発行部数は(日本ABC協会)「sweet」が前年同期比144%、「InRed」が同146%、「spring」が120%と、全雑誌の伸び率上位3位を独占しました。

好調の理由を、宝島社ではターゲット別のプロモーションに力を入れているからだと説明しています。人生相談や映画紹介はない。外国人モデルは使わない。男性の目を意識した着こなしや通勤服の提案もしない。「子どもっぽくても安っぽく見えない着こなし」に賛同する読者は多いといいます。
一方で、「購入理由は付録。雑誌の内容に関係なく買ってしまう」という声が多いのも事実です。
「Sweet 2008年8月号と付録」

編集部員は、クオリティの高い付録を毎号提供するために、デザインから工場選定までにかかわり、ロンドンまで1泊3日でサンプルを見に行ったり、中国の工場まで出向くことも珍しくないそうです。

雑誌の売上が、付録の内容によって大きく変る事実は否定できなくなっています。実際、電車の中吊り広告などはスペースの半分を付録の説明に費やしています。また、アマゾンなどでの書評は、付録についての評価ばかりです。
最近では「西麻布のコンビニで人気の女性誌を買っていた女性が、その場で付録だけもらって雑誌を店員に返している姿を目撃した」というツイートすら現れるようになりました。

いわゆる雑誌の付録商法です。

日本には書店が1万5000店以上、コンビニが4万店以上あります。ここに出版物を配本する力を持っていることが、出版社の強みの源泉でした。
付録商法は、出版物を流通させる組織を使って、モノを流通させているとも言えます。

出版流通を「最も効率がいい日本最大の流通組織」だと見抜いた、宝島社の蓮見社長の慧眼とも言えます。そして、宝島社が開発したこの付録商法には、今多くの出版社が追随しています。付録商法を活用すれば、出版社には、まだまだ伸びシロがあるようにも見えます。

しかし、雑誌本体を、付録を流通させるための包装として使うこの方法は、出版物としての雑誌の「終わり」を象徴しています。
「ファッション誌に付録が付いているのは
あたりまえになった」
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栗田 亮(くりた まこと)
Tenkai Japan代表
『Cool Japan! カッコイイ*かわいい*たのしい*おいしい*日本を世界に発信』をテーマに、トラベル、ファッション、ショップ、ブランド、イベント等の情報を英語で積極的に発信中。
クールジャパン系の翻訳、通訳、海外マーケティングには定評がある。
英語WEBメディア「Tenkai-japan.com」企画・運営
翻訳、通訳、通訳ガイド、外国語サイト製作・運営サポート、訪日外国人プロモーション、海外マーケティング、JAPANブランドの海外展開支援
SEFA-EVENT(フランス・ジャパンエキスポ主催者)パートナー

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