観光立国論とクールジャパン | 栗田亮のクールジャパン新展開 Vol.1 | コラム | アパレルウェブ

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栗田亮のクールジャパン新展開
2009.11.26 Vol.1 >>バックナンバー
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Vol.1 観光立国論とクールジャパン

国交省が「本気」で訪日外国人客3000万人をめざす

観光庁が発足から1年を迎えました。新しく国土交通大臣に就任した前原誠司氏は、いままで観光庁が掲げてきた、2020年に訪日外国人旅行者数2000万人を目指す目標を「あまりにもぬるい」と述べ、観光を成長産業の核とするために、旅行者数を上乗せする新たな目標を立てる考えを表明しました。

2003年に521万人だった訪日外国人数は、2008年には835万人まで増加しましたが、経済危機で2009年は600万人台に落ち込む見通しです。これを、2016年に2000万人、2019年には2500万人、将来的には3000万人にまで持っていこうというのです。
 

そのために国土交通省は、2010年度予算の概算要求の中で、観光関連予算を今年度比4.1倍の256億5061万1000円にすると発表しました。全体の予算を絞る中での増額となります。

《国土交通大臣の前原誠司氏はかねて観光を重要政策として位置づけており、15日の会見でも増額は《観光立国》に「本気」で取り組む姿勢の表れと強調した》(毎日新聞 2009年10月15日)と報道されています。
この「観光立国論」は決して目新しい“論”ではありません。既に50年以上も前から提唱されているのです。提唱者したのは、松下幸之助氏です。

松下幸之助氏の観光立国論

松下幸之助氏は1954年9月に大阪朝日会館で次のような講演をしています。
《自然の美しさでは、日本の地位は世界の一、二位ではあっても、決して、三位とは下るまいと感じたほどです。こんな美しい景観の美を、日本人は今まで自国のみで独り占めしていたのです。考えて見ればもったいない話で、石炭や石油ももちろん大事ですが、美しい景観もまた立派な資源だとすれば、むしろ日本の場合は、その重要さにおいていかなる埋蔵資源にも勝るとも劣らぬと言えるのではないでしょうか。》

《こんなに何もかも揃っているに、今までなぜこれを活かさなかったのか不審でなりません。もちろんこれには、日本人の人生観なり社会観がかなり大きな影響を与えていたのかも知れません。勤勉を尊んで遊びを卑しみ、遊ぶことが時には悪徳視されたことすらあります。》

《何ごとにも事業には資本が要ります。(しかし)富士山や瀬戸内海はいくら見ても減らないのです。運賃も要らなければ、荷造り箱も要りません。そのうえ8億ドルからの金が落ちるのですから、こんなうまい事業はちょっと他にはないと思います。》

《これほど重要な立国方策なのですから、これを実行するためには、どうしても専門の役所を設けなくてはなりません。・・・この際思いきって観光省を新設し、観光大臣を任命して、この大臣を総理、副総理に次ぐ重要ポストに置けばいいと思います。》

《アメリカ人は政治もうまいし、商売もうまい。だから、もし今、日本人とアメリカ人が全部国を入れ替えたなら、彼らはたちまちのうちに、この自然の景観を活かして、日本を観光の楽土にして、世界を相手にドンドン金を儲けることでしょう。要はその国民のものの見方、ものの考え方にあるのです。》(新政治経済研究会「1周年記念講演会」)。
 
画像:松下 幸之助 (著)
仕事で大切なこと(PHP総合研究所)表紙より

「経営の神様」と呼ばれた松下幸之助氏らしい、柔軟な発想です。
新国土交通大臣の前原誠司氏は松下政経塾の出身ですから、松下幸之助氏の門下生にあたります。そう考えると、今回の方針は、松下流「観光立国論」が半世紀を経てようやく日の目を見たと証と言えるかも知れません。

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栗田 亮(くりた まこと)
Tenkai Japan代表
『Cool Japan! カッコイイ*かわいい*たのしい*おいしい*日本を世界に発信』をテーマに、トラベル、ファッション、ショップ、ブランド、イベント等の情報を英語で積極的に発信中。
クールジャパン系の翻訳、通訳、海外マーケティングには定評がある。
英語WEBメディア「Tenkai-japan.com」企画・運営
翻訳、通訳、通訳ガイド、外国語サイト製作・運営サポート、訪日外国人プロモーション、海外マーケティング、JAPANブランドの海外展開支援
SEFA-EVENT(フランス・ジャパンエキスポ主催者)パートナー

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