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日本ブランド3組がパリで開いたポップアップイベント 三者三様の狙いと成果 
ラフォーレ原宿/ファミリア/ジャパンブルー

― アナログフィルター『Journal Cubocci』編集長・久保雅裕

2017.10.31
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世界中からファッション関係者が集まるパリファッションウィーク2018春夏の最中に、パリ市内で日本ブランドをアピールする取り組みとして、パリ市内の実店舗の一部で、日本ブランドによるポップアップイベントがいくつか開かれた。マーケティング的な打ち出しから実売重視の取り組みまで、目的は違えど日本のものづくりやカルチャーなどをフランス人や世界から来る観光客にも広く訴えた。

 

パリの有力トレードショー出展に手ごたえ


ラフォーレ原宿

ラフォーレ原宿は、「ラフォーレ原宿ワールドツアー(Laforet HARAJUKU World Tour)」と題して、ファーストセッションの大型見本市「フーズネクスト/プルミエールクラス(Who's Next / Premiere Classe)」(9月8〜11日)にブースを出展したが、その第2弾として9月23日〜10月3日の11日間、レアール地区にあるショッピングセンター「フォーラム・デ・アール(FORUM DES HALLES)」の南側路面にあるセレクトショップ「レクセプション(L’EXCEPTION)」の一角にポップアップショップ「ラフォーレ原宿・ポップアップショップ・イン・パリ(Laforet HARAJUKU POP UP SHOP in Paris)」をオープンした。

ラフォーレ原宿のテナントショップやポップアップなどで同館と関わりのあるブランドを中心に約20社が参加し、17年秋冬商品を販売したほか、文化ファッション大学院大学(BFGU)院生3人による作品展示も行った。初日には、ロリータファッションの顧客を中心に50人程が並び、好スタートを切った。また展示作品を購入したいというデザインコンシャスな顧客も現れ、反響があった。商品は上代ベースで約550万円を投入し、価格は税別でほぼ日本の小売価格と同じ値段で販売した。消化率は最終的に50%程度になる見込みだ。荒川信雄社長は、「アパレルメーカーが厳しい中で、ブランドや取引先が伸びてほしいという観点からこのワールドツアーを企画した。併せて原宿に来ていただいて、ファッションのおもちゃ箱のようなラフォーレに寄ってほしいというインバウンドも意識したプロモーションの場とも考えている」と話した。

展開ブランドは以下の通り。
 ALICE and the PIRATES、Angelic PrettyBABY, THE STARS SHINE BRIGHT、BATTY GARAGE BY AYMMYS、CiaraE hyphen world gallery BonBonfeastFURFURgelato piqueH>FRACTALHAREHoney SalonJane MarpleKEORA KEORANILE PERCHWALLX-girlXLARGE(R)

 

“ひと手間”体感でブランドの世界観を伝える


ベビー・子供服のファミリア

ベビー・子供服のファミリアは9月19日〜10月7日、パリ日本文化会館内の「ザ・ジャパンストア・伊勢丹三越パリ(The Japan Store ISETAN MITSUKOSHI Paris)」でポップアップストアをオープンした。またこれに先駆けて9月17〜20日には、ロンドンでもポップアップストアを開いた。テーマは「ひとてま(HITOTEMA)」。3つのひと手間体感として、1957年に誕生したロングセラーアイテム「デニムバッグ」のデザイン製作実演、上質な「肌着」に触れてもらうため、大人が首周りに取り付けられるよう5種類の素材の大人用ポンチョを用意し、実際の肌触りや日本製素材の良さを体感してもらう展示、その他子供たちが自らストーリーを考え彩っていく参加型イベントとしてのウォールアートなども行った。このウォールアートは、真っ白な専用什器も持ち込み、色とりどりのマスキングテープで飾られた。

同社マーケティング本部の山中絵梨香さんは「ただ商品を販売するのではなく、ひと手間体感のようなコンテンツと一緒に紹介する方が受け入れられやすいと考えた。ストーリーを伝えられることができたら将来に向けて可能性がある」とポップアップを開いた意図を語った。商品は日本上代ベースで500万円程持ち込み、販売価格は為替レートを1ユーロ=100円で計算して値付けした。TVA(消費税)が日本より12%高いが、それでも日本での販売価格と変わらない値段となる。1日当たり150人程の入店数で、購買客は10人程。イベント時には200人を超える入店客となった。商品では弁当箱、イベントではウォールアートが人気だったそうだ。最終的な消化率は10%を見込んでいる。現地の好みや色使い、パリ在住の日本人からの情報も得て、今後に生かすマーケティングの場としての位置付けだ。

 

フランチャイズ展開の呼び水に


「桃太郎ジーンズ」のジャパンブルー

一方、実売とマーケティング両方の目的で開いたのは、デニムメーカーのジャパンブルー。古着と新品のセレクトショップ「キリウォッチ・パリ(KILIWATCH PARIS)」の一角で「桃太郎ジーンズ(MOMOTARO JEANS)」を中心に同社のブランドを集めた「ブルーハンズ(Blue Hands)」を9月8日〜10月7日に開催した。キリウォッチとしては、初の日本ブランドとのポップアップイベントとなった。壁面全体に児島のジーンズや同社の物作りの過程を紹介するパネルと各工程別に撮影された5分程度のビデオ映像6チャプターを液晶ディスプレイで放映し、来店客の興味をそそった。アイテムはジーンズに加えてシャツ、カットソー、Gジャン、ベストなど約20型280点を揃え、ほぼ全てが買取という好条件で、消化率25%を見込んでおり、ポップアップ終了後はコーナー展開される。同社では、このポップアップを通じて市内4区のサンポールにある同社直営店「ジャパンブルー(JAPAN BLUE)」パリ店への送客など、消費者向けのアピールにとどまらずフランチャイズチェーン(FC)展開の呼び水にもしていきたい考えだ。

 

パリのファッションウィークという海外からのファッション関係者へも大きなアピールができる時期に開いた3社のポップアップだが、思いや目的は三者三様。マーケティング要素が強いラフォーレ原宿、ファミリアの2社に対して、パリに拠点を構え、実商売をすでに力強く行っているジャパンブルーには、一日の長があると言える。しかし、何ごともマーケティングなくして、闇雲に出て行っても成功するのはなかなか難しい。

ラフォーレのようにテナントや関係するブランドのサポートとインバウンド向けのアピール、そして将来的にはポップアップのまとめ役から欧州での小売業進出まで未来図を描いている点は、さすが大企業らしい取り組みだ。またファミリアのように子供服トレードショーへの出展などトライ&エラーを重ねて、さらなるマーケティングの精度を高める「石橋を叩いて渡る」式の取り組みも日本的と言えるかもしれない。多くの日本ブランドが世界で販売されるための第一歩として、こうした取り組みが増えていくことを期待したい。

 

久保 雅裕(くぼ・まさひろ)
アナログフィルター『ジュルナル・クボッチ』編集長

ファッションジャーナリスト・ファッションビジネスコンサルタント。繊研新聞社に22年間在籍。『senken h』を立ち上げ、アッシュ編集室長・パリ支局長を務めるとともに、子供服団体の事務局長、IFF・プラグインなど展示会事業も担当し、2012年に退社。
大手セレクトショップのマーケティングディレクターを経て、2013年からウェブメディア『Journal Cubocci』を運営。共同通信やFashionsnap.comなどにも執筆・寄稿している。杉野服飾大学特任准教授の傍ら、コンサルティングや講演活動を行っている。また別会社で、パリに出展するブランドのサポートや日本ブランドの合同ポップアップストアなども実施し、日本のクリエーター支援をライフワークとして活動している。

久保雅裕の「ふと気付けば、そこにヒントが…。」

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