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プレイタイムは面積も拡大、キッドは規模を縮小 棲み分けが明確に――パリ子供服合同展 2017年7月
― アナログフィルター『Journal Cubocci』編集長・久保雅裕

2017.7.21
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(左から)プレイタイム(Playtime)会場内、(下段)キッド(Kid)会場入り口

22回目を迎えた子供服・マタニティーの合同展「プレイタイム(Playtime)」は、テントを増築し、出展者が増加。一方、前回の「エスパス・モンゴルフィエール(ESPACE MONTGOLFIERE)」から会場変更し6回目を迎えた「キッド(Kid)」は規模を縮小したが、イメージを維持し、賑わい感が増したようだ。2018年春夏シーズンの両展ともに7月1〜3日に開かれ、日本からはプレイタイムに6ブランド、キッドに2ブランドが出展した。

 

出展者数と展示面積も増加し、プレイタイムの勢い衰えず


(上段)ニューナウ(NEW NOW)/(下段)ミルク(Milk)ポップアップストア

パリ東部郊外、ヴァンセンヌの森にあるパルク・フローラル見本市会場で開かれたプレイタイムには、前回同期比20ブランド増の520ブランド(うちフランス以外が400)が出展し、約100ブランドが初出展だった。出展構成はファッション・アクセサリーが70%、ライフスタイルが25%、マタニティーが5%で、今回は、新たなテントを増設し500平方メートル面積を拡大した。来場者数は5,767人で前年同期比0.03%減。昨年の春夏展が7.6%減だったことを考えると下げ止まった感がある。内訳ではフランス国内が43.2%、海外が56.8%と前回と変わらず、この3年は海外が国内を上回っている。フランス以外の欧州からは1ポイント下がって42.9%、アジアは2ポイント増え7.3%。欧州域外のトップは昨年2位だった米国が浮上し、韓国が2位に順位を下げた。日本は順位を一つ落とし4位となり、替わって中国が3位に浮上し、5位はロシアだった。リピーターは微増の55.5%、初めて来場したバイヤーは44.5%。前回からスタートしたパピエ・マルシェの編集長デボラ・スフェッツ(Deborah Sfezt)セレクトによる12ブランドのクリエーターを集めたコーナー「ニューナウ(NEW NOW)」も継続して設置されたほか、雑誌「ミルク(Milk)」のポップアップストアがマタニティーパビリオンの中に設置された。

 

ナオミ・イトウ(NAOMI ITO)

 

フィセル(FICELLE)

今回9回目となり、毎年春夏のみ参加しているフィセルは、今回初めてアパレルの「ナオミ・イトウ(NAOMI ITO)」とスリーパーなどの「フィセル(FICELLE)」のブースを分けて出展した。水彩画家の伊藤尚美のグラフィックを表現したナオミ・イトウで評判が良かったのは、ノースリーブのワンピース(小売価格6,000〜6,200円)やシャツワンピース(6,500円)など。ベルギー、ドイツの既存に加え、サウジアラビアから新規を獲得した。一方フィセルは、6枚重ねたガーゼの網目の細かさの違いをビジュアルで見せ、中心部ほど網目が荒く空気をはらんで洗うと一層ソフトになることを表現した。評判が良かったのはキノコ柄のブランケットやスリーパー(3,800円)。代理店のある東アジア諸国、米国などの既存以外にカナダなどから引き合いがあった。

 

タゴ(tago)

7回目の出展となった「タゴ(tago)」は、「ピッティ・イマジネ・ビンボ(PITTI IMMAGINE BIMBO)」に出展してから移動してきた。シチリアやトスカーナなどイタリアの田舎をイメージしたコレクションで、ビンテージヨットや鳥、「You are my sunshine」の手描きプリントをブルー系の色目でまとめたデザインを提案。シルクの入った綿ワンピース(4万円)や鳥の羽根の形をしたレースカラーのレーヨン・シルク混ドレス(4万4,000円)が人気だったそうだ。米国、スイスなどの既存に加え、サウジアラビアからの新規を獲得した。

 

アーチ&ライン(ARCH & LINE)

6回目の出展となった「アーチ&ライン(ARCH & LINE)」は今回、クールマックスなどの機能素材を英語で説明したポップを飾るとともにジェンダーレスなロングTシャツなども打ち出して臨んだが、そこに反応するバイヤーは少なく、「子供では少し早かった」との感想が漏れた。ただ、全面リフレクターのコーチジャケット(1万8,000円)は、アジアバイヤーを中心に人気があったそうだ。またTシャツ(3,000〜5,000円)とリネンの短パン(5,800円)のセットアップは好評だった。フランス、スペイン、イタリア、英国、ロシア、シンガポール、サウジアラビア、クエート、東アジア諸国などの既存以外にベルギー、ドイツ、米国、スイス、トルコ、カナダ、ウクライナなどの新規と商談が進んだ。

 

ヌヌフォルム(nunuforme)

ヌヌフォルム(nunuforme)」は3回目の出展。凝ったパターンとアシンメトリーのフォルムを売りにしてきた。胸にネットのサークルポケットが付いたシャツ(7,900円)やギャザースリーブの波ボーダーカットソー(6,900円)とヘムがバイアスのスカート(6,200円)の組み合わせや「HERO」Tシャツ(4,900円)と三角フラッグ柄のジャカードのパンツ(7,800円)の組み合わせが好評だった。サウジアラビア、台湾などの既存に加え米国、クエートなどから反応があった。

 

ランドセリエ(RANDSELLIER)

帝人フロンティアと加藤忠は、ランドセルの「ランドセリエ(RANDSELLIER)」で2回目の出展。前回はフランスの教科書に合わせてサイズを大きくし臨んだが、今回は日本サイズでプリント物などキャッチーなものも置いて反応を見た。ロシア、米国、ドイツからの反応が良かったそうだ。またパリのジュンク堂書店や日本文化会館の三越伊勢丹との商談も進んでいるという。今年9月の「メゾン・エ・オブジェ」には、大人狙いで出展する予定だ。この他、日本ブランドでは、哺乳瓶の「ベッタ(Betta)」も継続出展していた。

 

ノット(knot)

海外ブランドで目を引いたのが、ポルトガルの「ノット(knot)」。特にニットの色目に特色があり、10年目のブランドだ。今回は同国の美術家、ラファエル・ボルダロ・ピニェイロ(Rafael Bordalo Pinheiro)へのオマージュと「サウダーデ」などをテーマにコレクションを展開した。波型マルチボーダーのコットンドレスは46.4ユーロ(FOB)。プルオーバー(上・16.9ユーロ)、カーディガン(右・48.3ユーロ)、カバーオール(左・23.2ユーロ)、ブランケット(下・24.2ユーロ)。ベビー及び4〜12歳のサイズ展開。

 

ワンス(ONCE)

ワンス(ONCE)」はキッドからプレイタイムに鞍替えした台湾ブランド。1930年代のビーチスタイルやオランダのアーティスト、ヘンリ・ヤコブス(Henri Jacobs)のドローイングに着想を得て作り込んだという。サイズ展開は4〜12と16歳。アイスカラーで切り替えたノースリーブトップ(45〜49ドル・FOB)とスカート(46〜50ドル)の組み合わせや石をモチーフにしたボタンが可愛いブラウス(45〜49ドル)、極めつけはネットに大小様々なドットのスパンコールを付けたドレス(48〜53ドル)などが人気だそうだ。

 

ディヌイ(DINUI)

3回目の出展となる「ディヌイ(DINUI)」は韓国ブランドで、デザイナーのミンジェ・リー(Minjee Lee)は、NYのパーソンズ卒。プレイタイムNYにも出展しており、今季はピッティにも初出展した。クリーン、シンプル、モダンをモットーに2〜8歳の男児、2〜12歳の女児向けを展開している。コットン素材を使い、プリーツやギャザーでデザイン性の高いアイテムを並べていた。切りっ放しの切り替えを付けたカットソー(59ユーロ)やギャザーを寄せたドレス(74ユーロ)が目を引いた。

 

出展規模は2/3に縮小も賑わい感の出たキッド


キッドは前回より24ブランド減って、43ブランドが出展(前年同期比28ブランド減)し、日本からは2ブランドが参加した。ただ、会場を縮小した関係かもしれないが、賑わいもあり、よりコジー感が強まったことで雰囲気が良くなったようだ。

コラボした造形美術家のオレリー・マティゴ(左)とデザイナーの高井千寿子

4年ぶりのパリ出展となった「フランキーグロウ(Frankygrow)」はかつて出展していたプレイタイムからキッドに鞍替えした。今回はフランス人造形美術家のオレリー・マティゴ(Aurelie Mathigot)とコラボしたプリントやジャカード10型を加えたコレクションを披露した。眼とドットを組み合わせたモチーフをオレリーに依頼し、「エキセントリック・ポップ」をテーマに独特の世界観を表現した。ベビーのプリーツカラー・プリントボディ(小売価格6,800円)やコクーンシルエットのジャカードワンピース(1万3,800円)が人気商品だったという。フランス、イタリア、ロシアなどの既存に加え、米国、サウジアラビアの新規を獲得した。

 

イースト・エンド・ハイランダーズ(EAST END HIGHLANDERS)

6回目となるノーザンスカイの「イースト・エンド・ハイランダーズ(EAST END HIGHLANDERS)」は、イタリア、スペイン、フランス、ベルギー、スイス、ドイツ、クウェート、アメリカ、東アジア諸国の既存に加えて、ポルトガル、オランダ、デンマークなどから新規が付いた。人気だったアイテムは、17年春夏から継続してメンズで好調なトレンドの開襟シャツをキッズで再現したもので、モダールを混ぜたドレープ感のある男児シャツ(7,700〜8,800円)や薄手でシャリ感のあるデニムの極太の女児向けオーバーオール(1万,800〜1万2,800円)など。同社では、前週開かれたメンズトレードショーにも出展しており、メンズもキッズも、展示会場全体としてはバイヤー数の減少を感じたという。特に今春夏の店頭での状況が芳しくないという声も多く聞いたそうだ。既存店の店頭消化率が上がってきており、ブランドとしては好調を維持しているが、国別では前回よりイタリアが減り、ベルギーが増えたという。

 

イレテチュンヌ・クチュール(IL ETAIT UNE COUTURE)

海外ブランドで目を引いたのは、フランスの「イレテチュンヌ・クチュール(IL ETAIT UNE COUTURE)」。2シーズン目で、フランスやスイスの素材を使い、メードインフランスを自負している。サイズ展開はベビーが6〜18ヶ月、キッズが2〜10歳。フレンチレザーのライダースは250ユーロ(FOB)、ナイロン・ポリウレタンのレインコートは138ユーロで子供っぽくないシックで大人顔負けのデザインだ。日本へは未上陸。

 

メルイア(MELUIA)

メルイア(MELUIA)」は、3シーズン目のデンマーク・コペンハーゲンのシューズブランドだ。デザイナーのバックグラウンドがグラフィックということもあり、カラフルなスペインレザーとポルトガルのテキスタイルを使い、生産地はポルトガルだ。シューレースは6色からカスタマイズできる。小売価格は95ユーロ。

 

(左から)プレイタイム(Playtime)会場内、キッド(Kid)会場内

プレイタイムは、今シーズンからベルリンでの開催をスタートさせた。124ブランドが出展したが、パリと両方に出展するのは55ブランドのみで、ドイツの出展者が20ブランド。明らかに北欧やポーランドなど東欧とドイツからの来場を見込み、新市場を意識した展開だ。このように更に世界中での認知と拡大を目指すが、巨大化するパリ展ではクリエーションの薄まりやかつてのアットホームな雰囲気を懐かしむ声も聞かれる。巨大化すると往々にして疲労感や疎外感を感じるもので、出展者、来場者ともに快適さを求めることが難しくなる。この点をいかに改善するかが問われる。一方でキッドは小さくなったものの、その存在感が逆に高まったと言える。アットホームな雰囲気と賑わい感で満足度の高い展示会へと変化しつつあるようだ。そういう意味では前回記事で表現した「正念場」を上手に乗り越えたのかもしれない。次の焦点は、キッドの安定化とプレイタイムのコンフォタブル化と言えそうだ。次回の「プレイタイム・パリ」は2018年1月27〜29日、キッドは未定。

 

 

プレイタイム http://www.playtimeparis.com

キッド http://www.kid-shows.com

FICELLE http://www.ficelle.co.jp

tago http://www.petitago.tumblr.com

ARCH&LINE http://arch-and-line.jp

nunuforme http://nunu-web.com

RANDSELLIER http://www.randsellier.com

Knot http://www.knotkids.com

ONCE http://www.once-boutique.com

DINUI http://www.dinui.com

frankygrow http://frankygrow.com

オレリー・マティゴ http://www.aureliemathigot.com

EAST END HIGHLANDERS http://www.eastendhighlanders.jp

I IL ETAIT UNE COUTURE http://www.iletaitunecouture.com

MELULA http://www.melula.com

 

久保 雅裕(くぼ・まさひろ)
アナログフィルター『ジュルナル・クボッチ』編集長

ファッションジャーナリスト・ファッションビジネスコンサルタント。繊研新聞社に22年間在籍。『senken h』を立ち上げ、アッシュ編集室長・パリ支局長を務めるとともに、子供服団体の事務局長、IFF・プラグインなど展示会事業も担当し、2012年に退社。
大手セレクトショップのマーケティングディレクターを経て、2013年からウェブメディア『Journal Cubocci』を運営。共同通信やFashionsnap.comなどにも執筆・寄稿している。杉野服飾大学特任准教授、共立女子大学非常勤講師の傍ら、コンサルティングや講演活動を行っている。また別会社で、パリに出展するブランドのサポートや日本ブランドの合同ポップアップストアなども実施し、日本のクリエーター支援をライフワークとして活動している。

久保雅裕の「ふと気付けば、そこにヒントが…。」

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