“サブカル系ファッション”に見られる、ある現象を題材に考える| 小山隆のストリートはランウェイだ!Vol.2| コラム

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ストリートリサーチの鬼!小山隆のストリートはランウェイだ1
2009.8.18 Vol.2>>バックナンバー
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Vol.2“サブカル系ファッション”に見られる、ある現象を題材に考える

 

▼連載のテーマ
「ストリートはランウェイだ!」では、ファッション・デザイナーがライフワークとして実施しているストリートリサーチの視点から、時代感・ユーザーの気分を読み解こうとするものです。私の実施しているストリートリサーチは「人」、「店頭ディスプレイ」の2つの視点があり、このコラムもそのように構成する予定です。

“ストリート・人”からライフスタイルに関わる新しい潮流を捉まえ、“店頭ディスプレイ”で単に現象面のみにとらわれず戦略的にメッセージとして発信できているか?をチェックします。

“店頭ディスプレイ”というメディアは、感覚的消費≒ビジュアルの時代において今まで以上に重要な意味を持つと私は考えています。店頭から発信されるビジュアル表現の実態を足がかりに、「人」と「店頭ディスプレイ」双方を比較し、最終的には、どのような商品・サービスが表現として不足しているか?をあぶりだすのが目的です。

★ キャズム(溝)を埋める〜業界とユーザーの認識のズレを考える〜

▼今回のテーマ
ビジュアル表現を考察する前に、まず私の考えをお話しておく必要があります。最近、特にストリート(ユーザー)と送り手(企業)の間で、ファッションというものに対する意識のかい離があるのではないか?という思いがあります。

ファッションは若者達にとって、もはや特別なものではなくなったという趣旨の議論が今までさんざん行われてきたことは、皆様ご存じのとおりですが、もっと言うならば、従来型の企画アプローチと、ユーザーの感覚には決定的なズレがあり、ズレが生じたままで解を求めようとしている所に問題があるように感じます。
イノベーター理論で言うところのマジョリティーは、全体の68%(アーリーマジョリティ34.0%+レイトマジョリティ34.0%)です。ここが、ビジネスボリュームで議論されるマス・マーケットの対象者です。
マス・マーケットのユーザーにとってのファッションとは何か?ブランドは彼女等(彼等)と、どのように進んでゆけば良いのか?

これらの課題を”サブカル系ファッション”に見られる、ある現象を題材に考えてみたいと思います。

★ 衣裳 ≒ ファッションとは?

▼サブカル系ファッションがお洒落になってきた理由
ロリータファッションやゴシック、パンクなど、サブカル系(サブ・カルチャー・系)と呼ばれるファッションに異変が起きているように感じます。誤解を恐れずに言いますと、“着用者の質が変わりつつある”という思いをレポートします端的に言ってしまうと“見栄えが良い(ルックスがいい)”コが増えたということです。バンドのビジュアル向上とともに、それらを受ける側のオーディエンスの幅が広がったこともあると思いますが、私はもうひとつユーザーのファッションに対する“意識の変化”が、この現象を生んでいると考えています。

▼衣裳 ≒ ファッション
彼女等にとって “ファッション”という意味あい自体が変化しています。送り手(企業)と彼女等(ユーザー)の間に意識的かい離が生じていると想像します。「いつもは “しまらー(*注1)”だけど、今日は友達と原宿に行くからこう(激パンク(*注2))なんです」そう、彼女等は全く別のファッションに変身するのです。

晴れ姿≒衣裳
衣裳≒ファッション

という構図が浮かび上がってきます。つまり、従来の西洋型のハイ・ファッションビジネスに、この現象を当てはめようとすると、彼女等がファッションと認めるブランドは、衣裳的感覚を持ったものとなります。あこがれの対象は“衣裳”や“コスチューム”を着る特殊なシーン。企業はそこで繰り広げられるイベントやコト(シーン)を非日常的な感覚をもって演出し、消費を促します。

▼衣裳的感覚とは?
非日常的なファッションを総称しています。たとえば、映画や舞台の衣装、アニメやマンガのキャラクター・ファッション、ビジュアル系バンドに見られるバンドのコスチューム的感覚のファッションなど。サブカル系(サブ・カルチャー・系)と呼ばれるファッションも該当します。
少し乱暴ですが、流行追従型のブランドは彼女等にとってファッションではなく、独創的な(クセの強い)サービスを提供できるブランドのみがファッションとして認識してもらえる時代に入っている、ということかもしれません。

▼まとめ
ブランドビジネスを志向してゆく企業にとって、独創的なコミュニケーション手段の確立が生命線となります。ヤングマーケットにおいて、“ハイファッションへのあこがれ”を利用したマーケティングは意味を持たなくなり、現在の顧客が将来、単なる1ユーザーに変化してしまう事態を回避するためにも、設定ターゲットに対するビジュアル表現は十分にできているか?今一度見直す必要があるかもしれません。

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  小山 隆(こやま りゅう)  デザイナー・ディレクター

”ストリートはランウェイだ!”を合言葉に、13年にわたりストリート・ファッションのリサーチを行っている。 2000年に自主サイト”渋谷電脳リサーチ”を公開、ストリートから未来のトレンドを予測・デザインしている。
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