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大阪・梅田の「LUCUA osaka」 足元商圏を意識した新17店舗

2017.9.20
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「ルクア イーレ」地下1階にオープンした「ユニクロ」

JR大阪駅と連絡する複合商業施設「LUCUA osaka」(ルクア大阪)が今秋、新規の17店舗を導入する改装を行った。別館の「LUCUA 1100」(ルクア イーレ)の地下1階に「ユニクロ」と「ジーユー」の複合店舗を誘致するなど、思い切った取り組みも見られる。今年末から来春にかけては、地下2階の元“デパ地下”だったスペースの改装オープンも控えている。今回の改装にはどんな狙いがあるのだろう。

 

ルクア開業で周辺マーケットに変化


ルクア大阪」の母体である「LUCUA」(ルクア。旧東館)が開業したのは2011年春のこと。すでに7年が経過している。オープン当時に取材したことを覚えているが、時間の経過は早いものだと改めて感じる。旧JR大阪三越伊勢丹を居抜きで改装した「ルクア イーレ」(LUCUA 1100)は2015年春の開業で、3年目に入っている。

常々、取材を通して感じていることだが、商業施設のテナントの“旬”は短い(中にはそうでないテナントも存在するが、概して少数派である)。基本は年2回(春と秋)の改装で、そのたびに新しいテナントを導入して新陳代謝を図っていくことになる。今回の「ルクア大阪」の改装も、そうした“過渡期”に差し掛かっていることが背景にあるようだ。

「ルクア大阪」が居を構える大阪・梅田は元来、働く場所で、商業施設と言えば百貨店(阪急百貨店、阪神百貨店、大丸)が特徴だった。その状況が「ルクア」(旧東館)の開業で変わり始める。「ルクア」の開業はJR大阪(を含む)周辺の再開発事業の一環だったが、「グランフロント大阪」の開業も加わって、遊べる場所に変わっていった。ところが昨今はさらにマーケットの変化が進み、梅田が「住む場所」になってきているという。

 

働く街から住む街へ 地元住民を想定したテナント構成


地元住民の来館が増えている「ルクア大阪」

「最近、大阪駅周辺にタワーマンションが増えている」とルクアの担当者は指摘する(グランフロント大阪にもマンションが併設されている)。同館が指摘するように、住む場所としての梅田へと着実に変化が進んでいるようだ。実際、「ルクア大阪」を訪れる客層にも、こうした地元住民が増えているという。

その新しい地元住民の多くは小さいお子さんを持ったいわゆるニューファミリー。ファッションが主軸の従来型「ルクア」では、すべてのニーズを拾いきれなくなってきた。かねて同館では、「カフェ機能の強化」を課題にしてきたが、カフェは子連れのお母さんたちが休める場所としても必要なテナントとなった。今秋は「ルクア イーレ」6階に「イーブス サプライ」とともにカフェ「スタジオカフェ ズーアドベンチャー」を導入した。店内のところどころに動物の大きな縫いぐるみが置かれているカフェで、母子ともに楽しめる工夫がなされている。また「イーブス サプライ」も旧来の「イーブス」とは全く異なるベーシックテイストのファッションで(以前はモード系だった)、植物や洗剤、ハーブティーなど非アパレル商材も多く取り揃えた業態である。その隣がアダストリアの「ベイフロー」と「ラコレ」。この2店舗も「イーブス」同様、雑貨も取り混ぜたライフスタイル型のショップだ。この区画は新しい地元住民を取り込むテナント構成として象徴的である。

そのほか、「ルクア」の地下1階に導入したグロッサリーの「サンクゼール」も、こうした地元住民を意識したテナントだ。中でも最も規模が大きいのは、「ルクア イーレ」の地下1階にオープンした「ユニクロ」「ジーユー」の複合店である。これは地元住民に限らず、JR大阪駅を利用する全ての客層を包含する提案だが、ファッションを基軸に新しい商材、要素を採り入れていこうとする「ルクア大阪」の新しい一面と言えるだろう。名古屋に次いで2店舗目の複合店舗だが、9階の「梅田 蔦屋書店」と並び強力なアンカーテナントになりそうだ。

 

2館の違いが明確に 8年目の新しい「ルクア大阪」へ 


「ルクア」は開業から7年が経っているし、20代後半の女性をメーンにしたファッションの館という明確な軸があるため、比較的リーシングには苦労していないようだ(それでも、売れ筋ばかりを追い求めると同質化が進むため、個性派テナントとのバランスも難しいという)。メンズ・レディス複合型のテナントが多く、カップルで過ごせる館という手法も定着しているようだ。

一方の「ルクア イーレ」は元百貨店だけあり大箱で、理想のテナント配置を模索し続けていたという。「イーレ」の方が商材の幅も広いため、客層の年齢幅も広くなる。おのずと、そのバランスが大事になってくる。しかし3年目に突入し、バランス感覚をつかめてきたようだ。3世代で来館し、家具を買う、今秋オープンしたベビーショップ「マールマール」がギフト需要で人気を博しているなど、日常使いのニーズを取り込めているケースも見られるようになってきた。2館の方向性が明確になってきたようだ。

「ルクア大阪」の顧客は、新しい地元住民と広域からの大阪駅利用者との二層構造になっている。2館体制で充分な売り場面積(5万3000平方メートル)があるからこそ、こういったテナント構成が可能になるのだろう。今後は地元住民のニーズの1つである、“教育”に関するサービスの提供を模索している。また、新規顧客の開拓を目的に、“ワークショップ”のイベント開催にも力を入れている。館内のテナント同士で協業したイベントなど、購買へつながるようにする。

17年春夏の売上推移は、既存店ベースで3〜4%の増収だった。改装で閉鎖していた部分を除く数値なので、健闘したと言えるだろう。下期には、「イーレ」地下2階の食品系テナントの開業が控えている。2回に分けてオープンする計画だそうで、第一弾は年末、第二弾は来春ごろになりそうだ。この改装をもって、8年目の新しい「ルクア大阪」が姿を現すことになる。

 

■ルクア大阪 http://www.lucua.jp/
■ルクア イーレ http://www.lucua.jp/lucua1100/
■ハービスプラザ http://www.herbis.jp/

 

樋口 尚平(ひぐち・しょうへい)

ファッション系業界紙で編集記者として流通、スポーツ、メンズなどの取材を担当後、独立。
大阪を拠点に、関西の流通の現場やアパレルメーカーを中心に取材活動を続ける。

【ブログ】http://www.apalog.com/shohiguchi/

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