開業から丸4年――進化するグランフロント大阪 新しい“街づくり”が軌道に乗る | 樋口尚平の「ヒントは現場に落ちている」vol.41 | アパレルウェブ
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開業から丸4年――新しい“街づくり”が軌道に乗ったグランフロント大阪

2017.5.24
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オフィス需要も取り込み、堅調な推移のグランフロント大阪

大阪・梅田の複合商業施設「グランフロント大阪」が開業して丸4年が経過した。4年目の年間売上高(2016年4月1日〜2017年3月31日)は465億円(前期比7億円増)で、着実にその額を伸ばしている。梅田に新しい“街”をつくることをテーマに2013年4月26日グランドオープンした後、右肩上がりに売上規模を拡大してきた。節目の5年目を迎えた同施設のこれまでの総括と、今後の方向性をまとめた。

 

畑違いの11社が推進 明確になってきた役割分担


北館・南館を併せて約4万4000平方メートルの店舗面積があるグランフロント大阪。店舗数は270店を集積する。上質な商品やライフスタイルを求める30−40代――百貨店世代とは異なるセレクトショップ世代を中心に、新しい顧客層を開拓することを目的に開業した。87万人の登録があるカード会員の構成を見ると、1位が30代、2位が40代で当初の狙い通りの客層を取り込めていることが分かる。ちなみに男女比率は25対75で、女性が圧倒的に多い。

5年目に突入した現在でも、施設の基本的な姿勢――核テナントのコンセプトは変えていない。ファッション分野では、「ロンハーマン」「ビショップ」など、セレクト系のテナントが核になっている。「無印良品」は西日本のフラッグシップショップとして安定しているし、「アクタス」や「ザラホーム」も好調だ。スポーツ系では、「ザ・ノース・フェイス プラス」が好調を維持しているほか、南館地階の飲食店街「ウメキタセラー」もけん引役になっている。

また、ホテル「インターコンチネンタルホテル大阪」がある北館の売り上げが伸び続けているという。インバウンド客の利用が多いこと、地階のイベントスペースによる集客効果などが後押ししているようだ。それからもう1つ大きいのが、満室になった上層階のオフィス効果だ。1万4,000人のオフィスワーカー、6,000人のグランフロント大阪の従業員の効果もかなり大きいらしい。

11社が共同で推進してきたグランフロント大阪の事業。当初は電鉄、不動産、建設会社など畑違いの企業間で、意思疎通がうまくできていなかった。ところが4年が経過し、何をすれば効果的か、「互いの役割分担が明確になってきた。ショッピングモールが潤うことで、施設全体に波及効果が表れることを理解してもらえるようになった」(阪急阪神ビルマネジメントうめきた営業部、山下正人SC運営事務所支配人兼うめきた営業部長)。イベント情報なども共有しているという。

 

夜&週末の客数が安定 複合施設の強み生かす


グランフロント大阪の初年度売上高(2013年4月26日〜2014年3月31日)は436億円。以来、2年目が444億円、3年目が458億円と、着実に売上規模を拡大してきた。前述の通り、4年目も465億円と増収を達成した。来場者数も初年度が5,300万人、2年目以降も5,000万人台を維持し続け、今年3月には累計2億人を突破した。4年目の来館客数は5,352万人だった。開店景気の反動が出るため、売り上げが急落する2年目のジンクスを指摘されるケースの多い商業施設だが、グランフロント大阪について言えば、そうした落ち込みはなかった。

安定した推移の要因はいくつかあるようだが、その1つは、飲食テナントの比率を30%に高めて、夜の集客力を向上させたこと。昼間だけでなく、夜間の集客効果が表れた。また、平日と週末の来館客数の差が少ないことも大きい。平日は14万人、休日は16万人で、通常2倍以上の差がある商業施設が多い中、週を通して安定した集客を確保している。これは前述したオフィスワーカーの増加も大きい。ファッション特化型の施設と異なる、複合ゆえの強みだろう。

このオフィスワーカーの増加だが、ほかの相乗効果もあるようだ。その1つが、ギフト需要の増加。“商用”で利用されるケースが増えている。もちろん、個人向けのギフト需要も増えている。強化テナントの1つがオーガニックコスメ系だが、「イソップ」「シロ」などを利用する男性客も増えているという。

さて、5年目の課題だが、月並みではあるが「今まで積み重ねてきたことを続けること」(山下支配人)と実にシンプルである。中期的には、来年中に方針が固まる隣接する「うめきた」の2期工事の内容を見定める必要があると考えている。それまでは、現在の取り組みを愚直に継続することになりそうだ。

今春、北館1階に新規テナント「オーバー ザ センチュリー」を新たに導入した。衣食住を総合的に提案するライフスタイル型ショップだが、「うめきた」2期工事の場所に面した位置にある。以前「イーヴス」が出店していた場所で、ファッション系の専門家や媒体からは、「非効率な導線」と指摘されていたところだ。しかし2期工事が進めば、効率改善の必要性が指摘されていた北館も見直される可能性がある(というより、現に北館の売り上げは伸びているのだが・・)。これからのグランフロント大阪は、どのように進化していくのだろう。


北館1階へ新たに導入した「オーバー ザ センチュリー」。品揃え型のライフスタイルショップだ

 

■グランフロント大阪 https://www.grandfront-osaka.jp/
■インターコンチネンタル大阪 https://www.icosaka.com/
■オーバー ザ センチュリー http://www.over-the-century.com/

 

樋口 尚平(ひぐち・しょうへい)

ファッション系業界紙で編集記者として流通、スポーツ、メンズなどの取材を担当後、独立。
大阪を拠点に、関西の流通の現場やアパレルメーカーを中心に取材活動を続ける。

【ブログ】http://www.apalog.com/shohiguchi/

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