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「キューズモール」の屋号でSC展開―関西地区で存在感を発揮する東急不動産

2017.3.15
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「キューズモール」のポータルサイト

関東を拠点にしているが、関西でもショッピングセンターを複数開発し、存在感を示している東急不動産。関東では「東急プラザ銀座」や「東急プラザ表参道原宿」など、比較的感度の高いファッションを扱う施設というイメージがある一方、関西では「キューズモール」という屋号で、ショッピングモール(4施設)を展開する。ショッピングセンター(SC)の王道を行く施設もあれば、新しい試みを続けている施設もある。

 

関東でハイセンス、関西でローカライズ



「あべのキューズモール」。阿倍野地区で定位置を確保した

東急不動産、および施設運営を担う東急不動産SCマネジメントが手掛ける商業施設は「東急プラザ」や「キューズモール」などの屋号で展開している。ちなみに「渋谷109」は同系列の東急グループだが、電鉄傘下の東急モールズデベロップメントの管轄である。その「渋谷109」は今年4月、“SHIBUYA109エンタテイメント”という新会社として独立する。

閑話休題。関西では、「キューズモール」の屋号で4カ所(尼崎、阿倍野、森ノ宮、箕面)のSCを運営している。最も古い施設は「みのおキューズモール(旧箕面マーケットパーク ヴィソラ)」(大阪府箕面市)で、2003年10月の開業だ。その次が09年10月に開業した「あまがさきキューズモール(旧ココエ)」(兵庫県尼崎市)。11年4月には、「あべのキューズモール」(大阪市阿倍野区)が開業した。「もりのみやキューズモールBASE」(大阪市中央区)は15年4月の開業で、最も新しい施設だ。

「みのお」は典型的な郊外型SCで、最寄駅から少し距離があるため、アクセスは車がメーン。東西2つの館で構成し、テナント数は約110店と比較的コンパクト。賃貸面積はおよそ4万2000平方メートルだ。「スポーツデポ」がアンカーテナントになっている。

「あまがさき」はJR尼崎駅とペデストリアンデッキ(陸橋の歩行者道)で連絡していて利便性が高い。アンカーテナントは阪神百貨店とGMSの平和堂で、その間に専門店街があるいわゆる“2核1モール”の構造。テナント数は約140店で、賃貸面積はおよそ5万平方メートルだ。

「あべの」は阿倍野地区の再開発事業で整備されたSC。核テナントは「イトーヨーカドー」で、店舗数は約250店、賃貸面積はおよそ6万8000平方メートル。「キューズモール」の中では最も規模が大きい。ここには東急モールズデベロップメントが手掛ける「SHIBUYA109 ABENO」が出店している。

東急不動産が運営する「キューズモール」
施設名 場所 開業年月 賃貸面積
みのおキューズモール 大阪府箕面市 2003年10月 4.2万平米
あまがさきキューズモール 兵庫県尼崎市 2009年10月 5.0万平米
あべのキューズモール 大阪市阿倍野区 2011年4月 6.8万平米
もりのみやキューズモールBASE 大阪市中央区 2015年4月 2万平米

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個性的な取り組みで集客続ける「もりのみや」



「もりのみやキューズモールBASE」。新しい試みを続けている。

そして2年前に開業したのが「もりのみや」。賃貸面積はおよそ2万平方メートルで、テナント数も約50店と小振りの施設だ。森ノ宮駅前というアクセスの良い立地だが、周辺には学校が数多くあり、また大阪城公園という緑地もある区域で、商業施設とは縁遠い環境。こうした環境にコンパクトなSCをオープンした。ちなみに、「もりのみやキューズモールBASE」の“BASE”は、以前この地に日生球場があったことから、その名残を表す意味で付けられている。

「もりのみや」の施設中央には、人工芝の広場が設けてある。少し意地悪な言い方をすると、直接売り上げにつながらない部分。この施設では、地元住民を主体にした時間消費型を目指してスタートしたが、物販比率が低く、既存施設より売り上げ確保が難しい面もあった。1年目に来場した顧客の一部は2年目にいくらか――いわゆる開業景気の終息の影響で――減るのが常だが、この施設では「2年目も初年度と同じ売上推移を保っている」(東急不動産SCマネジメント、滝川隆文 執行役員兼総支配人)という。

東急不動産は昨年から、関西の報道媒体を対象にした記者懇談会を始めた。東京では継続して開催されていたそうだが、関西を拠点にしていない企業がこうした広報活動に力を入れるケースは珍しい。ある意味、危機感の裏返しなのだろうが、色々と扱いの難しいメディア(自戒を込めて・・)との良好な関係を築こうという試みは興味深い。

不動産を動産化する“証券化”の手法が発明され、商業施設を開発するという土地運用の柔軟な運営手法が広がった。プロパティーマネジメントが商業施設の在り方を変えてきたと言える。不動産や電鉄企業が商業施設の開発・運営、果てはリーシングまでを手掛けることは、決して珍しい事ではなくなった。

SCもいよいよ淘汰の時代に入ってきた。こうした状況下で、存在意義や個性を発揮するためには、独自の強みが必要になってくる。東急不動産のこうした試みは、自社の差別化を推し進める上での、1つの施策ではないかと思われる。今後の活躍に期待することにしよう。末尾に、このコラムは決して、提灯記事ではないことを断っておく。あくまでも、事実の列挙である。


「もりのみやキューズモールBASE」。屋上に設けられたランニングトラック

 

■東急プラザ銀座 http://ginza.tokyu-plaza.com/

■キューズモール https://qs-mall.jp/

■みのおキューズモール https://qs-mall.jp/minoh/

■あまがさきキューズモール https://qs-mall.jp/amagasaki/

■あべのキューズモール https://qs-mall.jp/abeno/

■もりのみやキューズモールBASE https://qs-mall.jp/morinomiya/

樋口 尚平(ひぐち・しょうへい)

ファッション系業界紙で編集記者として流通、スポーツ、メンズなどの取材を担当後、独立。
大阪を拠点に、関西の流通の現場やアパレルメーカーを中心に取材活動を続ける。

【ブログ】http://www.apalog.com/shohiguchi/

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